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Z世代の購買力は2030年に約1,800兆円|伸びる力と慎重な財布の読み方

Z世代の購買力は2030年に約1,800兆円|伸びる力と慎重な財布の読み方

Z世代の財布には、相反する二つの顔があります。市場での存在感は年々大きくなる一方で、お金の使い方はむしろ慎重になっている。伸びる購買力と、固く閉じがちな財布。この二面性が、Z世代を狙うマーケティングを難しくしています。
海外の調査データを国ごとに切り分けながら、その正体を読み解いていきます。なお金額は1ドル155円で円に換算して示します。

世界のZ世代の消費シェアは5年で倍増した

調査会社NIQが世界規模でまとめた推計では、Z世代が世界の消費に占めるシェアは、2020年の2.6%から2025年に6.1%へと、5年でおよそ倍増しました。さらに2030年には、その購買力が12兆ドル、日本円にして約1,800兆円に達すると見込まれています。
これは日本の名目GDPの3倍を超える規模です。世代としての影響力は、もはや無視できる段階を過ぎました。

ここで一つ補助線を引いておきます。シェアの拡大は、必ずしも一人あたりの羽振りの良さを意味しません。Z世代が年齢を重ねて働き手に加わった分だけ、全体のパイが自然に膨らんでいる側面が大きいからです。総額の伸びと、個人の気前よさは、分けて見るのが安全です。

それでも支出を絞る米国のZ世代

コンサルティング会社PwCが米国の消費取引を分析した結果では、Z世代は2025年の1月から4月にかけて、支出を13%減らしていました。市場全体では存在感を増しながら、個々人はむしろ財布の紐を締めている。この食い違いこそ、二面性の核心です。
背景にあるのは、物価高と先行きへの強い警戒です。使えるはずのお金を、あえて使わない。守りの姿勢が消費の前提になっています。

マーケターの視点で読み替えると、これは買えないのではなく、買い渋っている状態です。財布が閉じているのは購買力の不足ではなく、納得できる理由が見つからないため。逆に言えば、理由さえ用意できれば、Z世代の財布は開きます。

「経済的に安心」は世界で70%から52%へ下がった

世界44か国の2万3千人を対象にしたDeloitteの2025年調査では、経済的に安心だと答えたZ世代は52%でした。前年の70%から、わずか1年で大きく落ち込んでいます。
これは特定の国に限った話ではありません。豊かさの実感が薄れ、不安が当たり前になりつつあることを、世界中のデータがそろって示しています。

指標変化対象
世界の消費シェア2.6% から 6.1%世界(NIQ)
2030年の購買力約1,800兆円世界(NIQ)
経済的に安心と回答70% から 52%世界44か国(Deloitte)
数か月の支出13%減米国(PwC)

安心感の急落は、購買行動の慎重さを説明する有力な手がかりです。心理的な余裕がなければ、人は冒険的な買い物を避けます。Z世代の節約志向は、生まれ持った価値観というより、不安への合理的な反応と捉えるほうが実態に近いはずです。

実質賃金は上の世代より低い

主に米国のデータでは、同じ年齢で比べたとき、Z世代の実質賃金は、ミレニアル世代やX世代がその年齢で得ていた水準より低いと指摘されています。物価の上昇に賃金が追いつかず、見かけの収入ほど手取りの余裕がない。
伸びる購買力という明るい見出しの裏で、足元の生活実感はむしろ厳しくなっている。この温度差を見落とすと、Z世代像を読み違えてしまいます。

「力」と「不安」が同居する理由を考える

相反する二つの事実を、どう一つの像に結べばよいのか。私たちはこう読み解いています。Z世代は、リーマンショックの余波、コロナ禍、そして世界的な物価高を、価値観が形づくられる多感な時期に立て続けに浴びてきました。
その経験から、お金はいつ消えるか分からないものという前提が、深く刷り込まれています。だからこそ、市場で力を持ち始めても、財布は簡単には開かない。力と不安の同居は、矛盾ではなく、この世代なりの合理なのです。

マーケティングへの示唆|価格より「納得」を設計する

この世代に向き合うとき、安さだけを押し出す戦略は空振りしがちです。彼らが渋っているのは出費そのものではなく、納得のいかない出費だからです。値段を下げるより、なぜその値段に見合う価値があるのかを伝えるほうが、はるかに効きます。
財布を開く言い訳になる情報を、こちらから差し出す姿勢が鍵になります。

  • 品質や安全性を裏づける客観的な根拠
  • 作り手の思想や背景を伝える物語
  • 長く使える、あるいは再販できるという安心
  • 価値観に共感できるブランドの姿勢

総額の大きさに目を奪われるのではなく、どのカテゴリーで、どんな理由なら払うのか。その選別の基準を掴むことが先決です。消費者インサイトを起点に、財布が開く瞬間を具体的に描けるかどうかが分かれ目になります。

日本のZ世代に当てはめるには定性調査で確かめる

ここまで紹介したのは、主に米国と世界のデータです。同じ傾向が日本のZ世代にそのまま当てはまるとは限りません。為替も雇用慣行も家計の前提も違えば、財布の開き方も変わってくるからです。

大切なのは、海外の潮流を出発点として押さえつつ、最後は日本の生活者で確かめることです。なぜ節約するのか、どんな瞬間なら思い切って払うのか。その理由は、アンケートの数字を眺めるだけでは見えてきません。一人ひとりの言葉を丁寧に聞く定性調査でこそ、財布の裏にある本音が立ち上がってきます。

リサートは、こうした消費者の本音を掘り起こし、Z世代に響く打ち手づくりまで伴走します。世代の全体像と個人の本音を行き来しながら、データを確かな戦略へとつないでいきます。財布の固いこの世代にどう向き合うか迷ったら、まずは気軽にご相談ください。

出典 NIQ Spend Z(世界)/ PwC Gen Z Consumer Trends 2025(米国)/ Deloitte Global Gen Z and Millennial Survey 2025(世界44か国)

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よくある質問

Z世代の購買力はどれくらいですか?

NIQの世界規模の推計では、消費シェアが2020年の2.6%から2025年に6.1%へ倍増し、2030年には約1,800兆円(12兆ドル)に達するとされています。

力があるのに支出を絞るのはなぜですか?

物価高と将来不安が背景です。世界44か国を対象にしたDeloitteの調査では、経済的に安心と答える割合が1年で70%から52%へ下がりました。

マーケティングへの示唆は何ですか?

安さの訴求より、納得できる理由の提示が効きます。総額ではなく、どのカテゴリーでどんな理由なら払うのかという選別の基準を掴むことが重要です。

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この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス 代表取締役

リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。

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出典:インタビュールーム株式会社(リサート)
https://researto.com/column/gen-z-spending-power-2030/

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