いい商品を作ったはずなのに、売れない。その多くは、作り手の思いと、お客さまの本音がずれたまま進んでしまったことが原因です。
商品開発は、アイデアを形にする作業であると同時に、お客さまの声を聞きながら方向を直していく作業でもあります。年間100件を超える調査で新商品の現場に立ってきた立場から、商品開発の進め方と、各段階での調査の使い方を整理します。
商品開発とは
商品開発とは、お客さまの課題やニーズを起点に、新しい商品やサービスを生み出し、世に出すまでの一連の活動です。
思いつきだけで進めると、独りよがりな商品になりがちです。だからこそ、各段階で消費者の声を確かめながら、修正を重ねていきます。マーケティングリサーチは、その確かめ役として、開発の最初から最後まで関わります。
新商品開発のプロセス
新商品開発は、おおまかに次のステップで進みます。
- アイデア発想。市場やお客さまの課題から、種を見つける
- コンセプト設計。誰の、どんな課題を、どう解決するかを言葉にする
- コンセプト評価。発売前に、受け入れられるかを調べる
- 試作とテスト。プロトタイプを作り、使ってもらって直す
- 発売準備。価格、名前、パッケージを決める
- 発売と検証。出した後の反応を見て、次に活かす
大事なのは、各段階で立ち止まって確かめることです。
前に進むことばかり優先すると、ずれに気づいたときには引き返せなくなります。
ステージゲート法で開発を管理する
開発を、段階ごとに進めるか止めるかを判断する仕組みに、ステージゲート法があります。
アイデア、コンセプト、試作、発売前といった節目ごとに、ゲートと呼ばれる関門を置きます。各ゲートで、ここまでの結果を見て、進める、直す、やめるを決める。だらだら続けて傷を広げるのを防ぎ、見込みのあるものに資源を集める考え方です。
ステージゲート法の進め方はくわしくまとめています。調査の結果は、このゲートでの判断材料になります。
アイデア発想の段階で使う調査
最初の種を見つける段階では、お客さまの暮らしや困りごとを深く知ることが出発点になります。
アンケートで困りごとの大きさを測ることもありますが、本人も気づいていない不満をすくい上げるには、定性調査が向いています。インタビューや行動観察から、まだ誰も解いていない課題が見えてくることがあります。
コンセプトテストで受容性を測る
コンセプトが固まったら、発売前にお客さまの反応を確かめます。これがコンセプトテストです。
このアイデアを欲しいと思うか、いくらなら買うか、何が刺さって何が引っかかるか。実際に作る前に分かれば、無駄な投資を避けられます。コンセプトテストの手順はくわしくまとめています。
ここで評価が悪くても、終わりではありません。どこが引っかかったかが分かれば、コンセプトを練り直せます。
調査が商品開発を救った例
以前、海外で売れている飲料を日本に出すかどうかの調査を支援したことがあります。
本国の開発チームは、味に自信を持っていました。すでに海外で実績のある製品だったからです。けれど、日本の対象者に試飲してもらうと、想定と大きく違う反応が返ってきました。
日本人には甘すぎる。なじみのないスパイスに身構える。パッケージが別ジャンルの飲み物に似ていて、期待した味とのギャップに戸惑う。
結果、この商品の日本投入は一度見送りになりました。
作る前に調べたからこそ、大きな在庫と広告費を失わずに済んだのです。商品開発における調査は、攻めるための道具であると同時に、無駄な失敗を避けるための道具でもあります。
試作品とプロトタイプのテスト
コンセプトが通ったら、実際に試作品を作り、使ってもらいます。
頭で考えた使いやすさと、実際に手を動かしたときの感覚は、しばしば食い違います。試してもらうことで、説明書を読まないと使えない、置き場所に困る、といった現実の壁が見えてきます。早い段階で小さく試し、直す。これを繰り返すほど、発売時の完成度は上がります。
小さく試して、早く直す
近年は、完璧なものを一度に作るより、小さく作って早く試す進め方が広がっています。
必要最小限の形でいったん世に問い、反応を見て直していく。リーンスタートアップやアジャイルと呼ばれる考え方です。最初から作り込みすぎると、ずれていたときの損失が大きくなります。試して、直して、また試す。この回転を速くするほど、当たる確率は上がります。
調査は、この回転のなかで、毎回の判断を支える役割を担います。
価格・ネーミング・パッケージのテスト
発売の前には、中身以外の要素も確かめます。
- 価格。いくらなら高すぎず、安すぎないと感じるかを調べる
- ネーミング。覚えやすさや、商品の中身が伝わるかを確かめる
- パッケージ。手に取りたくなるか、棚で目立つかを見る
同じ中身でも、名前やパッケージしだいで売れ方は変わります。
パッケージから受ける期待と、実際の中身がずれると、お客さまはがっかりします。見た目と中身を、ひとつのメッセージとしてそろえることが大切です。
発売後の検証も商品開発のうち
発売したら終わり、ではありません。
狙った人に届いたか、どこで満足し、どこで離れたか。出した後の反応を調べることで、次の改良や、次の商品のヒントが得られます。売れた理由も、売れなかった理由も、きちんと振り返ることで、開発の精度は回を重ねるごとに上がっていきます。
商品開発でよくある失敗
- 作り手の自信が先に立ち、お客さまの声を確かめずに進める
- 多機能にしすぎて、結局なにが売りか分からなくなる
- 身近な人に聞いて、好評だったと早合点する
- コンセプトの評価が悪かった結果から、目をそらしてしまう
どれも、確かめるのが怖い、という気持ちから起きます。
けれど、発売してから外すより、作る前に直すほうが、ずっと痛みは小さくて済みます。
商品開発の成功率を上げるコツ
ここまでを振り返ると、成功率を上げる勘どころは、いくつかに絞れます。
- 作り手の思い込みを、早い段階でお客さまの声と突き合わせる
- 機能を足すより、誰の何を解決するかを一点に絞る
- 悪い調査結果から目をそらさず、直す材料として使う
- 各段階に関門を置き、進める、直す、やめるを冷静に判断する
- 発売後の反応まで振り返り、次の開発に活かす
派手な発想力よりも、確かめながら直す地道さが、最後にものを言います。
当てにいくというより、外さない仕組みを積み重ねる。これが、ヒットを生む土台になります。
商品開発と消費者インサイト
売れる商品の裏には、たいてい鋭い消費者インサイトがあります。
お客さまが口にする要望に応えるだけでは、ありふれた商品になります。本人も気づいていない動機まで掘り下げ、そこに応えたとき、商品は強く支持されます。機能の改善ではなく、その奥にある願いに語りかけられるか。ここが、ヒット商品とそうでない商品の分かれ目です。
リサートの商品開発支援
リサートは、アイデアの種を見つける段階から、コンセプト評価、試作品テスト、発売後の検証まで、商品開発の各段階を調査で支えています。
とくに、定性調査でお客さまの本音を掘り下げ、開発の方向を一緒に定めるところを得意としています。新商品の判断に迷ったら、まずは課題の整理からご相談ください。
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