海外で売る、海外から仕入れる、海外の競合を知る。事業が国境を越えるほど、現地のお客さまを正しく理解する必要が出てきます。
けれど、日本と同じやり方をそのまま持ち込むと、たいてい失敗します。言葉も、商習慣も、おいしいや使いやすいの感覚も、国ごとに違うからです。
年間100件を超える調査で海外案件にも関わってきた立場から、海外調査の特徴から進め方、つまずきやすい点までを整理します。
海外調査(グローバルリサーチ)とは
海外調査とは、日本以外の国や地域の市場、消費者、競合を対象にしたマーケティングリサーチです。グローバルリサーチとも呼ばれます。
新しい国に商品を出すべきか、出すならどう売るか。現地の人が何を求め、どんな基準で選ぶのか。こうした問いに、現地の事実をもとに答えるために行います。
日本で通用したやり方が、そのまま海外で通じるとは限りません。だからこそ、現地の目線で確かめる調査が欠かせません。
海外調査が必要になる場面
海外調査が活きるのは、おもに次のような場面です。
新しい国への市場参入を判断するとき。すでに進出した国で、売れ行きが伸び悩む理由を探るとき。海外の競合が、なぜ強いのかを知りたいとき。現地向けに、商品やパッケージを作り替えるとき。
どれも、距離が遠いぶん、推測だけで動くとリスクが大きい判断です。現地に一度立ち寄るだけでは分からないことを、腰を据えた調査で補います。
海外調査の難しさ
- 言語。質問も回答も、翻訳を挟むため意味がずれやすい
- 商習慣。買い方や決め方が、国によって大きく違う
- 文化。おいしい、使いやすい、かっこいいの基準が異なる
- 現地事情。協力者の集め方や、調査のルールが国ごとに違う
とくに見落とされやすいのが、文化のずれです。
数字や言葉のうえでは同じ答えに見えても、その背景にある気持ちは、国ごとにまるで違うことがあります。表面だけをなぞると、大事なところを取り違えます。
文化の違いが結果を左右する
以前、海外で売れている飲料を日本に出すかどうかの調査を支援したことがあります。
本国のチームは味に自信を持っていましたが、日本の対象者の反応は、まるで違いました。
日本人には甘すぎる。なじみのないスパイスに身構える。パッケージが別ジャンルの飲み物に似ていて、期待した味とのギャップに戸惑う。
作り手が考えるおいしいと、現地のお客さまが感じるおいしいは、同じではなかったのです。結局この進出は、一度見送りになりました。
逆もまた起きます。日本では当たり前のものが、海外では珍しく喜ばれることもある。文化の差は、リスクにもチャンスにもなります。だからこそ、現地で確かめる価値があります。この例はマーケティングリサーチの記事でも触れています。
海外調査の方法
- 現地の調査会社に委託する。土地勘があり、協力者も集めやすい
- オンライン調査を使う。遠隔でも、一定数の声を集められる
- 現地のパートナーと組む。言語と文化の橋渡しをしてもらう
日本側がすべてを抱えるより、現地の力を借りるほうが、精度も効率も上がります。
とくに対象者集めや、現地の細かなルールへの対応は、現地を知る相手に任せるほうが安心です。日本からは、何を知りたいかという問いの設計に集中するのがよいでしょう。
翻訳と通訳の落とし穴
海外調査でいちばん気をつけたいのが、言葉です。
質問をそのまま訳すと、現地ではニュアンスが変わってしまうことがあります。同じ単語でも、国によって受け取り方が違う。訳した文をもう一度元の言語に戻して確かめる、逆翻訳という手間をかけると、ずれに気づけます。
インタビューでは、通訳を挟むと、対象者の生の感情が薄まりがちです。可能なら、現地の言葉でそのまま進行できるモデレーターに任せるのが理想です。
海外調査の進め方
- 目的設定。どの国の、何を決めるための調査かを定める
- 設計。現地の文化と商習慣をふまえ、聞き方を調整する
- 現地実査。現地の会社やパートナーと組んで実施する
- 翻訳と分析。訳のずれに注意しながら、結果を読み解く
- 提案。現地に合った打ち手の形でまとめる
日本の常識を持ち込まず、現地の前提から組み立てることが、何より大切です。
こちらの当たり前が、向こうの当たり前とは限らない。その自覚を持つだけで、調査の精度は大きく変わります。
海外調査でよくある失敗
- 日本のやり方を、そのまま現地に当てはめてしまう
- 翻訳のずれに気づかず、誤った結論を出してしまう
- 一つの国の結果を、地域全体に広げて考えてしまう
- 現地の協力者の質を確かめず、偏ったサンプルで判断する
アジアと一口に言っても、国ごとに価値観はまるで違います。
ひとくくりにした瞬間に、調査は的を外します。隣の国だから似ているはず、という思い込みが、いちばん危ない落とし穴です。
新興国と先進国で変わる調査設計
同じ海外でも、国の発展段階によって、調査の組み立ては変わります。
先進国では、すでに似た商品が出回っていることが多く、競合との違いをどう見せるかが焦点になります。新興国では、その商品カテゴリー自体がまだ根づいていないこともあり、そもそも必要とされるのかから確かめます。
所得や生活の前提が違えば、価格の感覚も、買い方も変わります。国の事情に合わせて、問いそのものを変える必要があります。
リサートの海外調査
リサートは、英語に対応できるスタッフを置き、海外案件にも対応しています。
現地の文化や商習慣をふまえ、日本の常識を持ち込まずに、現地のお客さまを理解する調査を支援します。海外への進出や、現地での伸び悩みに迷ったときは、まずは課題の整理からご相談ください。
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