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ショッパーマーケティングとは?売場で買う人を動かす調査の考え方

同じ商品でも、棚に並べた瞬間に売れ方が変わります。値段は一円も変えていないのに、置く場所と見せ方を変えただけで動きが変わる。売場には、家の中では見えない買い手の素顔があります。
その素顔をつかむのがショッパーマーケティングです。買う直前の数秒に何が起きているのかを調べ、売場の打ち手につなげていきます。年間100件を超える調査に関わってきた立場から、考え方と進め方を整理します。

ショッパーマーケティングとは

ショッパーマーケティングとは、買い物をする人、つまりショッパーが売場でどう動き、何を見て、どんな理由で手に取るのかを調べ、その行動に合わせて売り方を設計する取り組みです。
テレビや動画でどれだけ商品を知ってもらっても、最後にカゴへ入れてもらえなければ売上にはなりません。広告で築いた好意を、売場での一手で取りこぼさない。その橋渡しを担うのがショッパーマーケティングの役割です。
対象は店頭だけにとどまりません。ネットスーパーやECの棚も、いまや大切な売場です。リアルとデジタルの両方で、買う瞬間を見つめます。

消費者とショッパーは別の顔を持つ

見落とされやすいのが、消費者とショッパーは必ずしも同じ人ではない、という点です。
使う人と買う人がずれる場面はいくらでもあります。子ども向けのお菓子を選ぶのは親、夫が飲むビールを買うのは妻、というように。使い手が好むものと、買い手が選ぶ基準は、しばしば食い違います。
さらに、同じ人でも家でくつろいでいるときと、店で時間に追われているときでは判断がまるで違います。家では理屈で選び、店では雰囲気と勢いで選ぶ。この二つの顔を分けて考えることが、ショッパー視点の出発点です。商品そのものへの理解は消費者インサイトで深め、買う瞬間の行動はショッパー調査で押さえる、という役割分担になります。

なぜいま重要になったのか

背景には、買い物の経路が一本道ではなくなったことがあります。
かつては、テレビで知って、店で買う、という流れが主役でした。いまはスマホで下調べし、口コミを読み、店で実物を確かめ、結局ネットで買う、といった行き来が当たり前になっています。
買う前の心の動きを、Googleはゼロ番目の瞬間として整理しました。検索や口コミで気持ちが固まっていく過程です。この流れは購買意思決定のモデルとして広く語られています。経路が複雑になったぶん、どの瞬間に何が効くのかを、思い込みではなく調査で確かめる必要が増しました。

買う瞬間に何が起きているか

売場での観察を重ねると、買い手は私たちが思うほど真剣に商品を選んでいない、という現実に何度もぶつかります。

棚の前で立ち止まるのは数秒。多くの人は端から端まで見比べず、目に入った範囲だけで決める。いつものものに手が伸び、迷ったら手前を取る。理由を尋ねても、なんとなく、としか返ってこない。

本人すら言葉にできない、その数秒の判断をどう動かすか。ここがショッパーマーケティングの勝負どころです。
だからこそ、買った理由を後から聞くだけでは足りません。買っているまさにその場で、何を見て、どこで手が止まったのかを観察する。言葉になる前の行動に、答えが隠れています。

ショッパー調査の主な手法

  • 店頭観察。買い手が棚の前でどう動き、どこで立ち止まるかを見る
  • 同行調査。実際の買い物に付き添い、選び方をその場で聞く
  • 棚前インタビュー。手に取った直後に、なぜそれを選んだかを尋ねる
  • 視線の計測。どこに目が向き、どこが見られていないかを測る
  • 購買データの分析。何と何が一緒に買われるかを数字で読む

強いのは、観察で行動をつかみ、その場のインタビューで理由を補う組み合わせです。
見えた事実と、聞けた言葉を重ねると、数字だけでは届かない手触りが見えてきます。こうした定性調査の手ざわりが、売場の打ち手に直結します。

売場リサーチの進め方

  • 目的設定。どの売場の、どの課題を解くための調査かを決める
  • 仮説づくり。なぜ売れていないのか、当たりをつける
  • 現場の観察と聞き取り。仮説を売場でぶつけて確かめる
  • 分析。行動と理由を結びつけ、つまずきの正体を突き止める
  • 売場への反映。棚割り、POP、陳列の打ち手に落とす

大切なのは、調査を売場の一手で終わらせないことです。
一度変えて終わりではなく、変えた後にもう一度売場を見る。効いたのか、効かなかったのかを確かめ、また直す。この繰り返しが売場を強くします。

リアルとデジタルの売場をつなぐ

いまや売場は、店の棚だけではありません。ECサイトの検索結果や、ネットスーパーの一覧画面も、立派な売場です。
面白いのは、リアルとデジタルで買い手の動きが違うことです。店では手前のものを取る人が、ネットでは口コミの星の数で選ぶ。同じ人でも、売場が変われば選び方が変わります。
だからこそ、店頭の打ち手とネットの見せ方を、別々に考えないことが大切です。どちらの売場でも気持ちよく選んでもらえるよう、買い物の流れ全体で設計します。

メーカーと小売、それぞれの視点

ショッパーマーケティングは、立場によって見たいものが変わります。
メーカーは、自社の商品をどう目立たせ、どう選んでもらうかを考えます。小売は、店全体としてお客さまに気持ちよく買い回ってもらい、客単価を上げたいと考えます。
この二つは、ぶつかることもあれば、手を組めることもあります。自社の棚だけを見るのではなく、買い手にとっての売場全体を一緒に良くする。その視点に立てたとき、メーカーと小売の取り組みは大きな成果につながります。

ショッパー調査でよくある失敗

  • 買った理由を後から聞くだけで、買う瞬間を見ていない
  • 作り手の思い込みで棚を設計し、買い手の動きと食い違う
  • 売れた数字は見ても、なぜ売れたのかを確かめない
  • 店頭だけを見て、ネットの売場を別物として放置する

いちばん多いのは、売れている理由を分かったつもりになることです。
たまたま棚の位置が良かっただけかもしれない。隣の商品が品切れだっただけかもしれない。理由を確かめずに横展開すると、別の売場では通用しません。売れた事実と、売れた理由は、分けて考える必要があります。

リサートのショッパー調査

リサートでは、売場での観察と、その場でのインタビューを組み合わせ、買う瞬間の行動を読み解く調査を支援しています。
なぜこの商品が選ばれないのか、どうすれば手に取ってもらえるのか。売場の悩みは、買い手のすぐそばに答えがあります。棚の動きが思わしくないときは、まずは課題の整理からご相談ください。

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よくある質問

Q.ショッパーマーケティングと消費者調査は何が違いますか?
A.消費者調査は商品を使う人の気持ちや満足を見ます。ショッパーマーケティングは買う人が売場でどう動き、なぜ手に取るかを見ます。使う人と買う人は別のことも多く、買う瞬間の行動に焦点を当てるのが特徴です。
Q.売場の調査はどんな方法でやりますか?
A.店頭での観察、買い物への同行、手に取った直後の棚前インタビュー、視線の計測、購買データの分析などがあります。行動を観察でつかみ、その場のインタビューで理由を補う組み合わせが効果的です。
Q.ECやネットスーパーもショッパー調査の対象ですか?
A.対象です。検索結果や一覧画面も売場の一つで、リアルとは選び方が変わります。店では手前を取る人がネットでは口コミで選ぶこともあり、買い物の流れ全体で見せ方を設計します。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス 代表取締役

リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。

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