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子ども・ティーンへのインタビュー調査|倫理的配慮と質問の技法

子ども・ティーンへのインタビュー調査|倫理的配慮と質問の技法

「好きなアニメは?」と聞けば元気に答えてくれる子が、「どうしてそれが好きなの?」と一歩踏み込んだ途端に黙り込む。
子どもやティーンへの調査は、大人向けの設計をそのまま持ち込むと空回りします。彼らは大人が喜びそうな「正解」を探し、気を遣って本心と違う言葉を返してくる。大人にとっては何でもない質問が、子どもには重く響くこともある。定性調査で本音にたどり着くには、質問の言葉と場の作り方を、相手の年齢に合わせて根本から組み替える必要があります。
手間も配慮も大人の何倍もかかりますが、未来の顧客の素の反応が見えるのは、この年代ならではです。

子どもへのインタビューが大人と違うところ

まず前提から違います。子どもは抽象的な問いをうまく処理できません。
「このお菓子の満足度は?」と聞いても答えようがない。「どこを食べたときが一番うれしかった?」と体験の場面に落とすと、はじめて言葉が出てきます。
もうひとつ厄介なのが、目の前の大人への迎合です。質問の裏にある「期待されている答え」を敏感に読み取り、そこへ寄せてしまう。よかれと思ってうなずく子ほど、データは静かに歪みます。
集中が続く時間も短い。小学校低学年なら20分、ティーンでも45分を超えたあたりから、答えは目に見えて雑になっていきます。
眠さや空腹も答えに直結します。実施の時間帯を、給食のあとや放課後の落ち着いた頃に合わせるだけで、拾える言葉の量が変わります。

  • 抽象語(満足・重視・こだわり)は避け、具体的な場面に置き換える
  • はい・いいえで終わる質問より、「そのとき何をしていた?」と行動を尋ねる
  • 年齢に応じて時間を短く区切り、飽きる前に切り上げる

同意はふたつ要る|保護者の承諾と本人のアセント

技法より先に、守らなければならないものがあります。
ESOMARの国際綱領は、14歳未満を「子ども」、14歳から17歳を「ヤングピープル」と定義し、子どもへのインタビューでは保護者か法定代理人の明示的な同意を必ず得るよう求めています。オンラインで実施する場合はさらに注意が要ります。メールの返信だけで同意とみなすのは危うく、電話や郵送で保護者本人を確認するところまで踏むのが確実です。
ただし、親がよいと言えば十分ではありません。子ども本人にも、その子が分かる言葉で「何のために、何をするのか」を伝え、参加するかどうかを本人が選ぶ。これをアセントと呼びます。
親に「やりなさい」と言われた手前、いやと言い出せない。そんな空気で始まった場は、データとしても倫理としても危うい。

  • 研究者の立場と目的を、子ども向けの言葉で最初に伝える
  • 途中でやめてよいこと、答えたくない質問は飛ばせることを約束する
  • 家庭環境や身体、お金といった繊細な話題は避けるか、扱うなら細心の配慮を払う

言葉にならない本音を引き出す技法

語彙が育ちきっていない相手から、言葉だけで消費者インサイトを掘り出すのは難しい。
そこで、絵を描いてもらう、キャラクターに気持ちを代弁させる、遊ぶ様子をそのまま観察する、といった手を重ねます。「あなたはどう思う?」ではなく「この子は今どんな気持ちだと思う?」と投影の形にすると、自分では言いにくい本音がするりと出てくる。たとえば新しいお菓子の感想を、味の点数ではなく「この子はどんな顔で食べていると思う?」と絵にしてもらう。数字には出ない戸惑いや驚きが、線や表情ににじみます。
ティーンには別の配慮が要ります。自意識が強く、格好をつけたり、逆に本音を隠したりする年頃です。仲のよい友達数人のグループにすると口が軽くなる一方で、周りに合わせて意見がそろってしまうこともある。一人の考えを深く聞きたいのか、空気感をつかみたいのか。知りたいことに応じて、1対1と少人数グループを使い分けます。

「大人に本当のことを言うと、怒られると思った」。取材を重ねると、子どもがそう打ち明ける場面に何度も出会います。

つまずきやすい落とし穴と進行役の役割

親の同席は諸刃です。低年齢の子には安心材料になりますが、親がそばにいると「ママの前で言える答え」に寄ってしまう。年齢が上がるほど、途中から親には別室へ移ってもらう判断が効いてきます。
誘導も起きやすい。「これ、おいしいよね?」の一言で、子どもはうなずくしかなくなる。進行役のちょっとした言葉で答えが決まってしまうからこそ、モデレーターの力量が結果を大きく左右します。
場所の影響も見落とせません。かしこまった会議室では固まってしまう子も、落ち着いた空間なら自然に話し出す。子どもの一言は、飾りがないぶん鋭い。その鋭さを受け止められるかどうかは、質問の技術より前に、どれだけ安心できる場を用意できたかで決まります。

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よくある質問

子どもへのインタビューは何歳から可能ですか?

年齢そのものに一律の下限はありませんが、言葉でのやりとりが成り立つ3歳から4歳ごろには可能です。低年齢ほど言語化が難しいため、絵を描く、遊ぶ様子を見るといった方法を組み合わせます。どの年齢でも、保護者の同意と本人の納得を先に得ることが前提になります。

保護者の同意があれば、子ども本人の意思確認は省いてよいですか?

省けません。保護者の同意は必須ですが、それとは別に、子ども本人にも分かる言葉で目的と内容を伝え、参加するかどうかを本人が選べるようにします。これをアセントと呼びます。いやがる素振りが見えたら、無理に続けないことが大切です。

ティーンへのインタビューで本音を引き出すコツはありますか?

評価されていると感じさせない雰囲気づくりが効きます。仲のよい数人のグループにすると話しやすくなりますが、周りに合わせて意見がそろうこともあります。一人の考えを深く聞きたいときは1対1、流行や空気感を知りたいときは少人数グループ、と目的で使い分けると精度が上がります。

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この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス 代表取締役

リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。

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出典:インタビュールーム株式会社(リサート)
https://researto.com/column/child-teen-interview-research-ethics/

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