マーケティングリサーチャーという仕事に興味はあるけれど、何をする職種なのか、年収はどれくらいか、どうやってなるのか、なった後はどこへ進めるのか。
求人を見てもイメージが湧きにくい、という声をよく聞きます。
リサーチャーを採用し、育て、養成講座も運営してきた立場から、仕事の中身からお金の話、入り方、その先の道筋までを一度に整理します。
マーケティングリサーチャーの仕事内容とは
ひとことで言えば、企業の意思決定に必要な人の本音を集めて、使える形に翻訳する仕事です。アンケートで数を測る定量調査と、インタビューで深層を探る定性調査を使い分け、調査を設計し、対象者から話を引き出し、結果を分析して提案に変えます。データを集めるだけでは終わりません。集めた事実を、商品開発や広告の判断に効く一言にまとめるところまでが役割です。
マーケティングリサーチャーとデータアナリストの違い
よく混同されるのが、データアナリストとの違いです。
データアナリストは、すでにあるデータを統計やツールで分析し、傾向や法則を見つけるのが主な仕事です。マーケティングリサーチャーは、その手前から関わります。何を知りたいかを定め、調査を設計し、対象者から新しくデータを集めるところから始めます。
数字を読む力は両者に必要ですが、リサーチャーは人に直接向き合い、言葉にならない本音まで拾うところに重心があります。
データを分析する人と、問いを立ててデータそのものを作る人。こう整理すると、役割の違いが見えてきます。
リサーチャーが参画するプロジェクトの例
関わるテーマは幅広く、ひとつの案件に数週間から数か月、設計から報告まで携わります。たとえば次のようなプロジェクトがあります。
- 新しい商品やサービスの開発で、消費者のニーズを掘り起こす
- 市場規模を見積もり、参入するかどうかの判断材料を出す
- 誰に売るかを定めるターゲティングやセグメンテーション
- 商品コンセプトが受け入れられるかを、発売前に評価する
- 試作品やパッケージの製品評価、使用感テスト
- ブランドがどう見られているかのイメージ調査
- 広告が狙いどおり伝わったかの効果測定
マーケティングリサーチャーのやりがいと醍醐味
面白さは、人の本音が見えた瞬間にあります。数字だけでは説明できなかった消費者の行動が、インタビューの何気ない一言で腑に落ちる。
その発見が、商品の方向性を変えたり、止まっていた社内の議論を動かしたりします。
自分が引き出した一言が、企業の意思決定を変える。表に出ることの少ない裏方ですが、世に出る商品や広告の手前に、リサーチャーの読みが効いていることは少なくありません。
地味に見えて、影響範囲はかなり広い仕事です。
マーケティングリサーチャーに向いている人
派手さよりも、地道に人の話を聞ける人が伸びます。具体的には、こんな素質を持つ人です。
- 相手が言葉にしきれない本音を、表情や間から拾う観察力
- バラバラの発言を、筋の通ったストーリーに束ねる構成力
- 思い込みを脇に置いて、事実をそのまま見る素直さ
私たちのチームも、外資系コンサル、シンクタンク、テーマパークの調査部門、人材業界と、出身はばらばらです。共通しているのは、人への興味が続くことくらいかもしれません。
マーケティングリサーチャーに必要なスキル
現場で評価されるスキルは、はっきりしています。
大きく分けると、次の力です。
- 調査設計力。何を聞けば課題に答えられるかを組み立てる
- インタビュー力。相手の本音を、誘導せずに引き出す
- 分析力。バラバラの発言や数字から、筋を見つける
- 統計の基礎。サンプルサイズや有意差を正しく扱う
- レポーティング力。発見を、相手に刺さる一言と資料に落とす
- 英語。外資や海外調査では、あると選択肢が広がる
すべてを最初から備えている人はいません。
入ってから、案件をこなしながら一つずつ伸ばしていくものです。
リサーチャーの大変なこと、向いていない人
いい面ばかりではありません。正直に、大変なところも書いておきます。
- 締め切りが重なると、分析と報告書づくりで時間に追われる
- 対象者が思うように話してくれない日もある
- 調査の結果が、クライアントの期待と違うことを伝えにくい場面がある
- 集計や文字起こしの確認など、地道な作業も一定量ある
人と話すのがどうしても苦手な人や、決まった手順をこなすほうが好きな人には、向きにくい仕事かもしれません。
逆に、人の話を聞くのが苦にならず、答えのない問いを面白がれる人には、長く続けられる仕事です。
マーケティングリサーチャーの年収|年代別の相場
年収は、経験と会社の種類で変わります。Indeedの集計では平均688万円、厚生労働省の調査では平均630万円が、この職種の水準です。
役割と年次ごとの相場を整理すると、次のようになります。
| 役割 | 年次 | 給与の相場 |
|---|---|---|
| アシスタント・未経験 | 20代前半 | 350〜450万円 |
| 調査を一人で担当 | 20代後半〜30代 | 500〜650万円 |
| リード・マネージャー | 30代〜40代 | 650〜900万円 |
| シニア・外資系の専門職 | 40代〜 | 900〜1,500万円 |
調査会社のほうが未経験から入りやすく、外資系は総じて水準が高めです。
未経験で入る場合は、最初の数年で実力をつけ、二社目で年収を上げていく人が多い印象です。
マーケティングリサーチャーになるには
未経験から入る道は、思っているより開いています。よくある入り口は次のとおりです。
- 事業会社のマーケティング部や商品開発部で、調査を担当する
- 調査会社にアシスタントとして入り、現場で覚える
- 独学で基礎を固めるなら書籍から入る
- モデレーションのように学びにくいスキルは、養成講座で一気に伸ばす
最初から完璧なスキルは求められません。求人票に実務経験3年以上とあっても、周辺業務やインターンから入り口が開くこともあります。経験者向けに見える募集でも、まずは話を聞いてみる価値はあります。
リサーチャーを募集している会社|調査会社と事業会社
募集している会社は、大きく調査会社と事業会社に分かれます。まず調査会社には、次のような専業の会社があります。
- 国内大手。インテージ、マクロミル、クロス・マーケティングなど。未経験からマネジメントまで幅広く採用しています
- 外資系。カンター、イプソス、ニールセンなど。グローバル基準の手法と語学力が活きます
事業会社の募集も増えています。実際の求人を見ると、業種の広がりがよくわかります。
- 消費財メーカー。食品、飲料、化粧品、日用品の商品開発やブランド部門
- ゲーム会社。セガは市場分析や顧客満足度調査のリサーチャーを募集しています
- プラットフォーム系。DMMは60以上の事業に対して消費者調査を設計するポジションを置いています
- 外資の配信・テック企業。ネットフリックスは Senior Researcher, Consumer Insight のような職種で消費者インサイトの専門家を採用しています(2026年6月14日現在)
日系は腰を据えて育てる傾向、外資は即戦力と専門性を求める傾向があります。
求人を探すなら、リサーチ専門の転職サービスや、LinkedInで「Consumer Insight」「マーケティングリサーチャー」と検索すると、実際の募集にたどり着けます。
リサーチ会社の職種と、規模による働き方の違い
リサーチ会社と一口に言っても、中にはいくつもの職種があります。
主な役割は次のとおりです。
- リサーチャー。調査を設計し、結果を分析して提案に変える中心の役割
- プロジェクトマネージャー。進行、スケジュール、品質を管理する
- フィールド・実査。対象者を集め、調査の現場を回す
- 集計・データ処理。アンケートの数字を整え、分析できる形にする
- モデレーター。インタビューやグループの進行を担う
- 営業・アカウント。クライアントの課題を聞き、案件を組み立てる
会社の規模でも、働き方は変わります。
大手は職種が分かれ、一つの専門を深く極めやすい一方で、関われる範囲は区切られます。中小は一人がいくつもの役割を兼ね、設計から報告まで一気通貫で経験できます。
早く幅を身につけたいなら中小、専門性をじっくり磨きたいなら大手、という見方ができます。
マーケティングリサーチの転職支援|エージェントが少ない理由
ひとつ知っておいてほしいことがあります。マーケティングリサーチに特化した転職エージェントは、ほとんどいません。
2023年ごろまでは一人いましたが、今は見当たらなくなりました。そのため、求人の探し方や、どの会社が自分に合うかの見極めが、当人任せになりがちです。
リサートでは、2026年からマーケティングリサーチの転職支援を始めました。
リサーチ会社へ移りたい人と、リサーチ会社からさらにステップアップしたい人の両方に、現場を知る立場からアドバイスしています。
キャリア相談は無料です。30分から60分ほど、私が直接お話を聞きます。進路に迷ったら、気軽に相談してください。
マーケティングリサーチャーのキャリアパス|その先の選択肢
リサーチャーの経験は、その先で幅広く効きます。人の本音を掴む力は、どの道に進んでも武器になります。
- プロダクトマネージャー
- UXリサーチャー
- 事業会社のマーケティングやブランド戦略
- コンサルティング
- 独立して、特定領域の調査を請け負う
私たちのまわりでも、リサーチャーから事業会社のブランド責任者になった人、スタートアップでプロダクトを率いる人、独立リサーチャーになった人がいます。
共通しているのは、リサーチで鍛えた人を見る目を、別の役割にそのまま持ち込んでいることです。辞めるというより、身につけた力を使う場所を変える、という感覚に近いと思います。
私がマーケティングリサーチャーになった理由
私自身は、もともと外資系のコンサルタントでした。戦略の議論が好きで、それを消費者に近いBtoCの現場でやれたら、もっと面白いはずだと思ったのがきっかけです。
マーケティングに移り、その中でも、数字と人の声の両方を扱う分析の領域に惹かれました。経営にも関心があったので、小規模なマーケティングリサーチ会社を自分で経営しながら、プレイヤーとしても現場に立つ、という今の形に落ち着きました。
働いてみて何より楽しかったのは、案件ごとに違う業界、違うクライアントの事業課題に次々と触れられることでした。食品の新商品もあれば、サービスの立て直しもある。
毎回ゼロから相手の世界を理解しにいく感覚は、飽きることがありません。実際にやってみると、調査は会社を立て直す力にもなります。
赤字だった会社をインタビューから黒字にした話は、こちらの記事にまとめています。
リサートでのリサーチャーの育て方
私たちは、リサーチャーは才能ではなく、訓練で伸ばせると考えています。
日々の育成では、このメディアの記事そのものを教材にしています。手法の基礎から現場のコツまで、読んで学べる形にして、新しく入ったメンバーにも読み込んでもらっています。
さらに、現場で使うスキルを体系化した養成講座も、外に開いています。年間100件を超える定性調査の現場で培ったやり方を、2日間の実践形式で渡す内容です。
これからこの仕事を目指す人にも、すでに現場にいて伸び悩んでいる人にも、近道になればと思っています。
リサートにマーケティングリサーチの相談をする

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経験豊富なモデレーターを皆様のリサーチプロジェクトにアサインします。

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モデレーションスキルを体系的に学べるトレーニングプログラムです。

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定性調査・定量調査の設計から実施・分析まで、まずはお気軽にご相談ください。




