はじめに:なぜ今、FGIが注目されているのか?
マーケティングリサーチの手法として「フォーカスグループインタビュー(FGI)」が再注目されています。消費者の“本音”や“潜在ニーズ”を引き出すことに長けたこの手法は、商品開発・広告制作・サービス改善など、幅広い分野で活用されています。
この記事では、FGIの基本的な概要から、実施の流れ、メリット・デメリット、活用シーンまでをわかりやすく解説します。
フォーカスグループインタビュー(FGI)とは?
● 定義と概要
フォーカスグループインタビュー(Focus Group Interview/FGI)とは、特定のテーマについて、6〜8人程度の対象者を集めてグループで話し合ってもらう形式の定性調査です。モデレーター(司会進行役)がディスカッションをリードし、参加者同士の相互作用を通じて、個人の深層心理や集団の意見傾向を引き出します。
● FGIの目的
- 消費者の価値観や意識の把握
- 商品・サービスに対するイメージの確認
- 新しいアイデアや改善点の発見
- 広告やコピーの反応テスト
FGIの基本的な流れ
FGIは、準備段階から分析・報告まで、以下のようなステップで進行します。
1. 調査設計・目的の明確化
まずは「なぜFGIを実施するのか?」という目的の明確化が重要です。ターゲットユーザー像、話し合いたいテーマ、期待するアウトプットを整理します。
2. リクルーティング(対象者の選定)
条件に合う参加者を6〜8名程度リクルートします。性別、年齢、ライフスタイル、購買行動など、テーマに応じて細かくセグメントします。
3. インタビューフローの作成(設問設計)
モデレーターが使用する質問ガイド(インタビューフロー)を設計します。オープンクエスチョンで自由な意見を引き出すよう工夫します。
4. インタビューの実施
実施時間は約1.5〜2時間が一般的。録音・録画し、観察ルームからクライアントも同席することが多いです。モデレーターは場を温めながら、テーマに沿って議論を深めていきます。
5. 分析・報告書の作成
得られた発言内容や反応をもとに、傾向・共通点・気づきを分析し、レポートをまとめます。
FGIのメリットとデメリット
● メリット
- 生の声を引き出せる:自由な会話から、定量調査では見えにくい本音や感情が見える
- 発言の深堀りが可能:参加者の意見に対してさらに質問し、深い洞察が得られる
- 新たな発見が生まれる:グループの相互作用で、1対1では出てこない視点が生まれる
- 迅速に方向性を探れる:短期間で意思決定の材料が得られる
● デメリット(注意点)
- 人数が少ないため一般化はできない(定性的調査)
- モデレーターのスキルに左右されやすい
- 発言者の影響で他の参加者が意見を抑える可能性がある
- 実施コスト・時間がかかる場合も
FGIはこんなシーンで活用されている
- 新商品・サービスの開発前に:ターゲットのニーズや不満を掘り下げたいとき
- 広告・プロモーション企画の前に:アイデアの受け止め方を確認したいとき
- ブランドイメージの把握:既存ユーザーの“イメージ”や“感じ方”を知りたいとき
- ペルソナ設計やカスタマージャーニー策定の材料に
よくある質問(FAQ)
Q. FGIとデプスインタビューの違いは?
→ FGIはグループ形式、デプスインタビューは1対1で深く掘り下げる形式。目的や対象に応じて使い分けます。
Q. オンラインでの実施も可能ですか?
→ はい。Zoomなどを用いたオンラインFGIも主流になっています。ただし、グループ間の空気感や発言の被りなど、対面とは異なる工夫が必要です。
まとめ:FGIをうまく活用しよう
フォーカスグループインタビュー(FGI)は、消費者のリアルな意見や感情を知るための強力なリサーチ手法です。企画立案や商品開発の初期フェーズで特に効果を発揮します。目的と対象者を明確にしたうえで、適切な設計・運用をすれば、「数値では見えない」重要なインサイトを得ることができます。
マーケティング活動において、FGIを戦略的に取り入れてみてはいかがでしょうか?