近年、数学的マーケティングやセルフリサーチ型のプラットフォームの浸透により、調査の重要性が高まってきていると感じることが多くなってきました。その中でも、ブランド調査の文脈の中で第一想起やカテゴリーエントリーポイント(以下、CEP)に注目が集まっていると思います。このような背景には、ブランドを単体で評価するのではなく、「どのような状況で」「どのような文脈で」思い出され、選択されるのかを捉えようとする視点の広がりがあるのだと思います。
従来のブランド調査では、認知率や好意度、利用経験率といった指標が中心に扱われてきました。しかし、これらの数値だけでは、生活者が実際の意思決定場面でどのようにブランドを想起し、比較し、選んでいるのかを十分に説明できなくなってきています。その課題意識の延長線上に、CEPと第一想起の再評価があると筆者は考えています。
本コラムでは、ブランド・カテゴライゼーションモデルを土台にしながら、CEPという「棚を開くきっかけ」と、第一想起/ブランド再生/ブランド再認という指標を、どのように調査設計へ組み込むべきかを整理します。思想や概念の紹介に留まらず、実務でどのような問いを設計し、どのように結果を読み解くべきかという設計ノウハウを解説していきます。
ブランド・カテゴライゼーションモデルとは何か
ブランド・カテゴライゼーションモデルとは「Brisoux and Laroche」が提唱したモデルに基づいており、日本では恩藏直人氏が発展させています。
さて、ブランド・カテゴライゼーションモデルを説明すると、まずは入手可能集合というものがあるが、これはカテゴリのことである。車や化粧品、お菓子など無数にあるカテゴリのことである。
そのカテゴリの中で、知名集合と非知名集合に分けられる。この基準は名前を知っているかどうか分けられる。次に、名前以外の事柄について知っているかどうかで処理集合か非処理集合に分けられる。調査的には特長認知と言われるものだ。そして、処理集合の中で購入意向や利用意向のあるものが想起集合に分類され、迷っている場合には保留集合、意向のない場合は拒否集合に分類される。最後に想起集合の中で、最初に思い浮かべるものが第一想起に分類されます。

第一想起という指標が示すもの
ブランド・カテゴライゼーションモデルを実務的に理解するためには、CEPという考え方を避けては通れません。CEPとは、生活者が特定のカテゴリを思い出したり、検討を開始したりする際の「きっかけ」となる状況・欲求・感情・文脈のことを指します。
生活者はいきなりブランドを思い浮かべるわけではありません。まず「喉が渇いた」「今日は失敗したくない」「急いでいる」「誰かに勧めたい」といった状況や気分が立ち上がり、その瞬間に参照される思考の棚が決まります。その思考の棚に紐づいているブランド群が、想起や選択の対象になります。
つまり、第一想起は単なるカテゴリ想起ではなく、「特定のカテゴリーエントリーポイントにおいて、最も強く結びついているブランド」であると言い換えることができます。どのエントリーポイントで強いのかを分解せずに第一想起だけを見ると、ブランドの強みや弱みを見誤る可能性があります。
筆者は、第一想起を「特定のカテゴリや文脈が提示された瞬間に、最も強く結びついているブランド」考えています。第一想起は単なる知名度の高さではなく、生活者の思考の棚の中で最前列に置かれているかどうかを示す指標です。
第一想起が高いブランドは、そのカテゴリや文脈において「考えなくても出てくる存在」になっています。逆に言えば、第一想起が取れていないブランドは、認知があったとしても棚の奥や別の棚に置かれている可能性があります。第一想起を測定する際に重要なのは、質問文で提示するカテゴリや状況設定です。曖昧な聞き方をすると、生活者がどの棚を参照して回答しているのかが不明確になります。
また、知識的な話ではありますが、「ブランド再認」と「ブランド再生」という言葉も覚えておきたいものです。ブランド再認とは、商品名・ブランド名、ロゴ、パッケージなどの要素を見たときに頭の中でそのブランドを認識できることを言います。一方で、ブランド再生とはブランド要素を見ることなく、限られた製品カテゴリからそのブランドを思い起こせることを言います。
したがって、第一想起とはブランド再生の中で一番最初に候補にあがるものです。ここまでくると、第一想起が重要であるというのは十分理解できるかと思いますが、特に重要なのはどのカテゴリや文脈を起点にしているかということなのです。
調査設計に落とし込む際の視点
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