発酵乳市場は年間3-5%の成長を続けていますが、その成長を牽引する要因を正確に把握できていない企業は少なくありません。ヨーグルトの購買行動は、朝食時の定番商品から、スナックやデザート、さらには健康補助食品まで多様化しており、利用シーンごとに消費者ニーズが大きく異なります。本記事では、マーケティングリサーチを通じて利用シーンを細分化し、市場成長の真のドライバーを特定する実践的な方法を解説します。これにより、製品開発やマーケティング施策の優先順位付けが可能になり、限られたリソースを最大限に活用できるようになります。
1. 利用シーン別の消費者セグメンテーションを設計する
ヨーグルト市場の成長ドライバーを特定するには、まず利用シーンを体系的に分類することが重要です。一般的には「朝食時の栄養補給」「間食・おやつ」「デザート」「健康維持・美容」「腸活・腸内環境改善」など5-7つのシーンに分けられます。
調査設計では、各シーンにおける消費者の購買頻度、購入額、ブランド選択基準を明確化します。例えば、朝食シーンでは「時間効率」「栄養価」が重視される傾向にありますが、デザートシーンでは「味わい」「食感」が優先されます。定量調査(n=1,000以上)でシーン別の購買比率を測定し、各シーンの市場規模を推定することで、どのシーンが成長の中心となっているかが明確になります。さらに、シーン別の拡大率を3年単位で追跡することで、新興シーンの急速な成長を早期に発見できます。
2. 利用理由の深掘り調査で潜在ニーズを抽出する
定量調査だけでは、消費者がなぜそのシーンでヨーグルトを選ぶのかという本質的な理由が見えません。利用理由を深掘りするには、定性調査(フォーカスグループディスカッション、深堀りインタビュー)が有効です。
健康志向の強化に伴い、従来の「朝食の定番」という理由から、「腸内環境改善」「免疫力向上」といった機能性訴求への移行が急速に進んでいます。実際、2023年の調査では、健康関連の理由でヨーグルトを購入する消費者が全体の58%に達しており、5年前の34%から24ポイント増加しています。これは市場成長の大きなドライバーです。定性調査を実施することで、こうした理由の変化を消費者の言葉で把握でき、新製品開発やメッセージング戦略に直結させることができます。
3. 購買パターン分析で非利用者の掘り起こしを検討する
既存購買層への分析と同時に、ヨーグルト非利用者の潜在需要を探ることも重要な成長ドライバーです。調査では購買層だけでなく、「購入したことがない」「ほとんど購入しない」セグメントも対象に含め、その理由を把握します。
例えば、高齢層ではヨーグルトを「若い世代の食べ物」と認識している傾向が見られ、実際の利用者が50代以下に集中しています。一方、認知症予防や骨密度維持といった機能訴求により、60代以上の新規ユーザー獲得の余地が大きく残されています。定量調査で非利用理由を集計し、「使用機会がない」「味が好みでない」「価格が高い」などの障壁を特定することで、新規顧客層への切り込み方が見えます。
4. トレンド調査で新興シーン・新商品カテゴリを発見する
市場の成長を先読みするには、トレンド調査が不可欠です。SNS分析、検索ボリューム調査、トレンドレポート等を組み合わせて、新興の利用シーンを早期に発見します。
近年の例として、「夜食・睡眠サポート」シーンの急速な拡大が挙げられます。ラッシェル乳業の2023年調査では、就寝前のヨーグルト摂取を意識的に行う消費者が前年比45%増加しました。これは従来の朝食シーンを補完する新たな成長機会です。また、「フィットネス後のタンパク質補給」というシーンも、フィットネスブーム追い風で拡大しています。トレンド調査を定期的に実施することで、こうした新興シーンへの先制的な商品開発が可能になります。
5. 競合ベンチマーク分析でシーン別の競争力を評価する
自社製品がどのシーンで競争優位性を持つのか、また劣位なのかを把握することも重要です。競合ベンチマーク調査では、各利用シーンについて、複数ブランドの認知率、購買率、ロイヤリティを測定します。
例えば、プレーンヨーグルトは「腸活・健康シーン」では高い評価を得ていますが、「デザート・間食シーン」ではフレーバー付きやデザートタイプに劣後する傾向があります。こうしたシーン別の強み・弱みを可視化することで、投資すべきシーンと、カテゴリ拡張が必要なシーンが明確になります。定期的にベンチマーク調査を実施することで、競争環境の変化もリアルタイムに把握できます。
まとめ
ヨーグルト・発酵乳市場の成長ドライバーを特定するには、単なる販売額の増減では不十分です。利用シーン別のセグメンテーション、利用理由の深掘り、非利用者分析、トレンド調査、競合ベンチマークという5つのリサーチ手法を組み合わせることで、市場成長の本質が見えてきます。これらの調査結果に基づいて製品開発やマーケティング施策を立案すれば、限られた経営資源を最大限に活用でき、持続的な市場成長の実現につながります。
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