はじめに
デジタル化の進展により顧客データが溢れる現代において、「顧客理解」の重要性はこれまで以上に高まっています。しかし、大量のデータから導き出される平均的な顧客像だけでは、真のニーズや潜在的な欲求を見落としてしまうことも少なくありません。筆者は日々痛感しております。
ということでP&G出身マーケターかつ経営者の西口一希氏のN1分析®の本を読みました。
「たった一人の顧客」を徹底的に深掘りすることで、事業成長のヒントを見つけ出す方法論のことを西口氏はN1分析®と名付けたようですね。
ビジネスの結果が変わるN1分析 実在する1人の顧客の徹底理解から新しい価値を創造する
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*アフィリエイトリンクではないのですが、ぜひ読んでみてください。
N1分析®に対する筆者の考察
定義とN1分析®を開発した背景
N1分析®の「N1」とは「N=1」が由来のようでした。マーケティングリサーチ業界だとn=1(エヌイチ)という言葉がありますが、N1はエヌワンと呼ぶようです。ちょっとかっこいい。
特定の顧客「一人」に焦点を当て、その人物の購買行動、心理、価値観、潜在的なニーズ(インサイト)などを詳細に調査し、深く掘り下げる株式会社マクロミルが商標を持つ分析手法です。
誤解ないように繰り返しますが、N1分析®は株式会社マクロミルの商標です。
これは筆者は知らなかったので意外でした。商標なので弊社や一般のマーケティンリサーチ企業が提供してよいサービスではない、ということです。
アンケート調査のような定量的なデータでは見えにくい、顧客の「本音」や「なぜそう行動するのか」といった根本的な理由を探ることを目的としているので、これは定性調査と大枠の手法論としてはほぼ同じではないかと筆者は思いました。
そこまで差のないに聞こえる手法論になぜ商標を取っているのか?筆者なりに考察しました。
以下の数字が付いた分析フレームワークの並びを見てみると、開発意図がわかります。
N1®も9segs®も数字が付いた分析フレームワーク
- N1®・・・マクロミル
- 2・・・存在しない
- 3C・・・マッキンゼー
- 4P・・・E. ジェローム・マッカーシー
- 5-force・・・マイケル・ポーター
- 6-bubbles・・・アクセンチュア
- 7S・・・マッキンゼー
- 8・・・存在しない
- 9segs®・・・マクロミル
コンサルティングファームでいうと3Cはマッキンゼー大前研一氏によるもの、PPMはBCGは創始者ブルース・D・ヘンダーソンによるもの、NPSはベインアンドカンパニーにより提唱されています。
つまるところ、N1というのは、3C、4P、5-force、PPMなどに近い、分析フレームワークとしてのブランディングなのかな?と思います。
デプスインタビューよりもN1の方が、キャッチーに聞こえます。
同じく株式会社マクロミルの商標である9segs®も分析フレームワークとしてのブランディングなのだろうと思いました。
N1®・・・定性調査ベースの分析フレームワーク
9segs®・・・定量調査ベースの分析フレームワーク
ということで、定性は1、と定量は9という数字抑えたのはキリがよいです。調査会社がフレームワークを開発する、というのは中々秀逸なマーケティング戦略だと思いました。
そう考えるとエヌワンという呼び方も洗練されています。
n=1ってマーケティングリサーチ業界だと結構ネガティブな意味で使われますからね。「それってエヌイチの話でしょ?」「その一人の意見、市場のボリュームあるの?」みたいな文脈で言われがちです。
「いや、エヌイチじゃないんです、エヌワンなんです!」みたいな切り返しができますからね。
2と8はまだ空いているので何か私も分析フレームワークを考えたいところです。
よくある質問(FAQ)
Q:N1分析®は、どこでできますか?
A:株式会社マクロミルにて提供しています。リサートではN1分析®は提供していません。株式会社マクロミルの商標である点にご注意ください。誤解なきようにお願いします。
この記事を書いた人

石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター
リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。アドタイにてZ世代の誤解とリアル。「ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。



