【完全解説】ペルソナとは?実務で使える「本当のペルソナ」の作り方、伝授します

はじめに:ペルソナをうまく実務で使いこなせない

マーケティングリサーチの現場の最前線にいる筆者の周りでは「ペルソナ」は頻繁に登場します。
しかし、クライアント様からの実務的な相談では、ペルソナに関して以下のようなネガティブな声をよく耳にします。

ペルソナでよくあるマーケティングの現場での不満

  • 「ペルソナを作ったけれど、結局社内で使われなかった」
  • 「イメージづくりに時間をかけたのに、現場でほぼ参照されていない」
  • 「そもそもペルソナって作るべきなのか?作らない方がいいんじゃないの?」

ペルソナを作ってもうまく実務で活用できないないのは、「ペルソナ=人物像づくり」と誤解していることが大きな原因です。

本来ペルソナは、事業にとって最重要な、消費者の主たるニーズ(価値・動機・課題)を掴むためのフレームワークです。

ということは、実はペルソナ作成において、人物像の作成はあくまで手段であって目的ではないのです。

消費者が感じる価値を見極め、意思決定に反映させるための使えることを目的として設計することで「実務で本当に使えるペルソナ」になります。

本稿では、ペルソナの意味、作り方、活用シーン、失敗理由、そして周辺概念(シャドー/セールスターゲット/コミュニケーションターゲット)まで、実務に役立つ形で整理します。

ペルソナとは?“主たるニーズの可視化フレームワーク”

ペルソナを一言で説明すると、次のようになります。

ペルソナとは、「誰のどのような価値を実現するのか」を、具体的な一人の人物として描いたもの。

この定義における「誰のどのような価値」が「消費者の主たるニーズ」を指します。

ペルソナに含まれる主要素:消費者の主たるニーズ

  • どのような瞬間に
  • どのような理由で
  • どのような価値を求める

消費者の主たるニーズとは、上記にように、消費者の行動や選択を左右する「根本的な動機」を指します。

実務で使えないペルソナの特徴は、この主たるニーズを抜きに年齢・職業・家族構成・趣味などの属性情報ばかり描くことに注力しているモノです。一見すると確かにそれっぽい人物像になっていますが、結局活用されずに作って終わりになってしまいます。インタビュー調査をしてインタビューをした人達を再現するかのように人物像を作り込んだだけのペルソナは実務的にほとんど意味がありません。

実務で使えるペルソナの特徴は、必ず主たるニーズが以下の順序で構造的に表現できています。

ペルソナとは、
消費者の主たるニーズ → 行動 → 文脈 → 最小限のプロフィール
の順序で構造化されたフレームワークのこと。

この構造化されたフレームワークが、本当のペルソナです。

なぜペルソナが必要なのか?「共通言語」がないと意思決定の基準がブレるから

ペルソナは「お客様の理解を深めるため」ことを目的に存在するわけではありません。
ペルソナを作成する本質的な目的は、以下の通り定義されるべきなのです。

ペルソナを作成する目的とは、マーケティング/製品開発/UX/営業が、同じ顧客像を基準に意思決定するためにつくるものである。

マーケティングの現場でよくある「ペルソナ不在の問題

  • 製品開発とマーケティング担当で想定ユーザーが違う
  • クリエイティブの方向性が毎回ブレる
  • ターゲットが広すぎて誰にも刺さらない施策になる
  • 「ターゲットは20~40代女性」など曖昧なターゲット設定で施策が迷走する

ペルソナはこうしたターゲットと施策の認識ズレをなくすための基準となり、「この人(=中心顧客)に価値が届くか?」で話を整理していくことが可能となります。
結果として、異なる立場のステークホルダー同士で判断の基準や目線が揃いやすくなり、議論や意思決定のスピードが上がるのです。

ペルソナが特に効果を発揮する場面

  • 新商品の企画段階
  • ブランド刷新/コミュニケーション戦略の再構築
  • 複数部署や外部パートナーが関わる大規模プロジェクト

上記のような場面など、チームの中で顧客像の解釈がズレ始めているときには特に効果を発揮するでしょう。
「誰のための価値を作るのか」を一点に絞ることが結果的に最短の成功ルートとなります。

事例:Soup Stock Tokyo 「秋月つゆ」- ペルソナの本当の価値

ペルソナでよく紹介される有名な事例はSoup Stock Tokyoさんの「秋月つゆ」さんです。
基本的なデモグラフィック属性だけでなく、サイコグラフィック属性のような性格なども作りこんでいます。

Soup Stock Tokyoさんのペルソナの評価すべきところ=本質的な価値は「作り込まれたプロフィール」ではありません。「秋月つゆ」さんというペルソナの本質的な価値は、「丁寧に暮らしたいが、時間はない」という「価値観と生活文脈の解像度が高い点」にあるのです。

価値観と生活文脈の好例

  • 忙しい中でも食に妥協したくない
  • 自分をすり減らす日常の生活の中で、「小さな休息」を求めている
  • ひとりでも安心して入れる外食したい

Soup Stock Tokyoさんが作成したペルソナは、価値構造が明確に描かれていたからこそ、メニュー、内外装、店内体験、広告のすべてが統一した作りに仕上がっているのです。

重要なのは「プロフィールを作ること」ではなく、「主たるニーズの構造」が鮮明だったということです。

ペルソナと混同しがちな周辺概念

ここでペルソナ作りにおいて重要な用語もこの辺りで整理しておきます。

セールスターゲット(ビジネスターゲット)

営業担当から見て、最も成果を上げやすい既存顧客のことである。必ずしもペルソナ(価値の中心)と一致しない。

コミュニケーションターゲット

マーケティング戦略において、自社の商品・サービスの情報を“伝えたい想定顧客”のことである。ペルソナはこのコミュニケーションターゲットの中心にいることが多いです。

シャドー(Shadow)

ペルソナの“すぐ外側”にいる潜在顧客層。今すぐは買わないが、条件が整えば顧客になる可能性が高い。

例えば、ダイエットをしている女性は、ファストフードを食べることはないけれど、たまにハメを外して爆食いしてしまう瞬間がありますよね。そうしたメインのターゲットとは真反対の顧客像をイメージすることで、新規顧客取り組みのヒントにもなります。

シャドーはペルソナの真反対をイメージしていただくとわかりやすいです。

この3つの周辺の概念をペルソナと合わせて整理することで、「誰に向けて価値を最大化し、どこまで広げるのか」という戦略が明確になります。

【重要】ペルソナの正しい作り方:人を描く前に主たるニーズを描く

筆者がマーケティングリサーチ案件を数多く行う中で、よくある質問が「ペルソナの作り方」「ペルソナに必要な項目」です。ここにも大きな誤解があります。

ペルソナ作成で陥りがちな NGな進め方

  • 性別・年齢
  • 居住地・家族構成
  • 趣味・ライフスタイル
  • 性格や生い立ち

上記のようなプロフィールを、消費者にインタビューをしながら埋めていく「人物像優先の作り方」です。

上記のように「ペルソナの作り方」や「ペルソナに必要な項目」という観点で質問をされるクライアント様は非常に多いですが、この時点でペルソナ作成は座礁しかけています。

なぜかと言うと、この質問には「人物像優先で作る」「プロフィールを作る」という、手段を目的にしてしまっている意識が語調から明らかだからです。

筆者は今まで数多くのペルソナ作成プロジェクトを実施してましたが、「人物像優先」「手段を目的化」して作られたペルソナはほぼ確実に使われなくなります。

では、どうすればよいのでしょうか?筆者が考える、正しいペルソナ作成のステップを共有します。

✔ ペルソナ作成の正しいステップ:主たるニーズ中心モデル

STEP1. データから「貢献度の高い顧客」を特定する

などのように既存の顧客がどのような行動を取っているのかを手持ちのデータや調査で明らかにしていきます。この時点ではまだ「人物像」は描かないでください。
まずは顧客の行動・課題・利用シーン・選択理由を特定することに集中します。

STEP2. 主たるニーズ(価値の核)を抽出する

ここが最も重要なパートです。

  • なぜ当商品・サービスを選ぶのか?
  • どの瞬間に欲求が立ち上がるのか?
  • 競合商品・サービスと何が違う?
  • どんな課題・不満を抱えている?
  • それによりどんな感情が動いている?

上記の問いを言語化し、その商品やサービスがどのような価値を提供しているのか、顧客がどのような価値を感じているのかを把握することに集中しましょう。

ここが浅ければ、どんなにプロフィールを充実させても意味がありません。

「価値(Value)」と「文脈(Context)」が明確になって初めてペルソナは意味を持ちます。

STEP3. 主たるニーズを象徴する「人物像」を最小限のプロフィールとして描く

ここで初めて、性別や年齢の情報を付け足していきます。

重要なのは:

人物像は
「主たるニーズを誰もがイメージしやすくするための手段」
人物像自体は、手段であって、目的ではない。

性別・年齢・職業・居住地・人生背景などは最低限で大丈夫です。むしろ、たくさん書けば書くほどペルソナは活用しづらいものになります。

STEP4. シャドー/コミュニケーションターゲット/セールスターゲットの関係を整理する

人物像に“広げるべき外円”を明確にし、マーケティング活動全体の整合性を取ります。

中心(ペルソナ)と周辺の関係が整理されると、

  • どこまでを取りに行くか
  • どこのセグメントは捨てるか
  • どの層にどのようなメッセージを出すか

の判断が格段にしやすくなります。

ペルソナが“使われなくなる”典型パターン

いくつかの企業を支援してきた中で、共通点は次の4つです。

よくある失敗① プロフィールづくりに全エネルギーが使われる

結果、価値が浅くなり、判断軸として機能しなくなります。ペルソナは作った後に、使うことが重要です。

よくある失敗② ペルソナを作った人と、使う人が違う

リサーチ部がペルソナ作って、マーケティング部や製品開発部を参照しない…という構図は非常に多いです。

よくある失敗③ 意思決定の議論にペルソナが登場しない

企画会議で「ペルソナだとどう感じる?」という確認・議論が行われない。ペルソナは、「作る」ではなく「使うために作る」ものです。会議の形式にペルソナの議論を組み込む前提で作るのです。

よくある失敗④主たるニーズを押さえていないのでターゲットの規模が小さい

ペルソナを作成した後によくオーダーがあるのが、「ペルソナが定量的にどれくらいボリュームを知りたい」というものです。

主たるニーズを押さえていないペルソナは、定量調査を行っても、属性などでセグメントした顧客ボリュームだけを見て、「ビジネスとして成り立たない」という結論になってしまい、ペルソナは使われなくなります。

まとめ:ペルソナは「人物像」ではなく「価値の焦点を定めたもの」

ペルソナは本来効果を発揮すると強力なツールなのですが、作り方を誤っているケースがあまりにも多いために過小評価されやすいように思います。

ペルソナを誤解せずに、正しく有効活用いただきたので以下の言葉を置きます。

ペルソナ = 顧客の主たるニーズを可視化し、チームの意思決定の判断基準を揃えるための道具。

プロフィールは目的ではなく、価値への理解を補助する道具にすぎない。

人物像ばかりに目を奪われると、本来の目的が見失われます。
大切なのは、「どのようのな価値を、どのような文脈で求めるのか」という“価値の構造化”です。

ここが明確なペルソナは、製品開発、ブランド戦略、UXデザイン、広告制作など、すべての活動を同じ方向へと導きます。

ペルソナ作成に興味・関心がある方はぜひリサートにお問い合わせください。
お気軽にご相談いただければプロのリサーチャーがアドバイスさせていただきます。

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この記事の監修者

石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター
リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。アドタイにてZ世代の誤解とリアル。「ビーリアルな、密着エスノ記」連載中。

この記事を書いた人

角 泰範 | マーケティング・リサーチャー
リサート所属モデレーター。シンクタンク・マーケティングリサーチ複数社を経て現職。マーケティングリサーチャーとして10年以上の経験を有し、大手ブランドの広範な商材・サービスの調査を支援。統計学的な分析手法とインタビューをハイブリッドに活用した、定量・定性の両軸での消費者分析力が強み。