デプスインタビュー(IDI)とは?特徴やメリット・デメリット、活用シーンをわかりやすく解説

はじめに

マーケティングや商品開発、ユーザー理解を深めるためには、消費者の「本音」に迫る調査が不可欠です。その中でも、1対1の形式で深いインサイトを引き出す「デプスインタビュー(IDI)」は、特に注目される調査手法の一つです。

本記事では、デプスインタビューの概要からメリット・デメリット、定性調査との関係や、具体的な活用シーンまでを丁寧に解説します。

デプスインタビュー(IDI)とは?

デプスインタビュー(Depth Interview)とは、調査対象者とモデレーターが1対1で対話しながら、意識や感情、行動の背景にある“深層心理”を掘り下げていく定性調査の手法です。

  • 「なぜそのような行動をとったのか?」
  • 「その選択の背後にはどんな価値観があるのか?」

といった、表層的な回答では見えない“本音”を探ることができます。

デプスインタビューの特徴

  • 1対1の対話形式で、参加者の自由な発言を促す
  • プライバシーを確保しやすく、センシティブなテーマにも対応
  • 時間は1回あたり30〜90分程度が一般的
  • 半構造化インタビュー形式が多く、柔軟な進行が可能

デプスインタビューのメリット

1. 深層心理に迫ることができる

他者の目を気にせず、率直な意見を引き出せるため、回答者の本音や無意識の思考に迫りやすいです。

2. センシティブなテーマでも実施可能

健康問題、金融、プライベートな生活習慣など、他人の前では話しにくい内容も1対1形式なら話しやすくなります。

3. 個別対応で柔軟な深掘りが可能

参加者ごとに異なる話題や掘り下げたい部分に応じて、質問をアレンジしながら展開できます。

4. 外的影響を受けにくい

グループ調査とは異なり、他の参加者の発言や雰囲気に影響されず、純粋な個人の意見を収集できます。

デプスインタビューのデメリット・注意点

1. サンプル数が限られる

時間とコストの関係上、多くの人から意見を集めるのには向いておらず、統計的な代表性を持たせることは難しいです。

2. 実施に高いスキルが必要

質問の仕方や傾聴の技術、柔軟なファシリテーションが求められるため、モデレーターのスキルに結果が左右されやすいです。

3. 分析に時間と労力がかかる

得られるデータは文章や音声などの“非構造化データ”であるため、内容の把握・分類・解釈に多くの手間がかかります。

デプスインタビューと他の手法との比較

手法特徴向いているテーマ
デプスインタビュー1対1、深掘り重視個人の深層心理、センシティブな内容
FGI(フォーカスグループインタビュー)グループでの意見交換多様な視点の発見、アイデア創出
アンケート調査大規模、定量的全体傾向の把握、数値的検証

デプスインタビューの活用シーン

  • 新商品・サービスの開発初期におけるユーザーインサイトの発掘
  • ターゲット層のペルソナ設計やニーズの明確化
  • ブランド認知や購買行動に関する心理的要因の把握
  • WebサービスやアプリのUX調査
  • 医療、金融、ライフスタイルなど繊細なテーマのヒアリング

実施のポイントと成功のコツ

1. 調査目的を明確にする

「何を知りたいか」を明確にしておくことで、適切な質問設計が可能になります。

2. インタビューガイドの準備

会話の流れを大枠で設計しつつ、柔軟に対応できる半構造型の設計が推奨されます。

3. モデレーターのスキルが重要

信頼関係の構築や話を深掘りする質問力、沈黙への対応力などが成功のカギです。

まとめ

  • デプスインタビューは、1対1形式で深い心理を掘り下げる定性調査手法
  • センシティブな内容や個人の内面に関する調査に特に有効
  • 専門的なスキルや準備が求められるが、その分得られる情報の質は高い

ユーザーの声を「深く」理解したい、数字では見えない本音を知りたいと感じたら、デプスインタビューを活用する価値は十分にあります。目的に合った手法を選び、調査設計から丁寧に行いましょう。