「競合の動向を把握したいが、調査会社に依頼する予算がない」という状況は、多くの中小企業やスタートアップで共通の悩みです。しかし、コストをかけなくても競合リサーチは始められます。この記事では、今日から実践できる3つの方法を紹介します。
1. デスクリサーチで公開情報を体系的に集める
競合調査の第一歩は、インターネット上に公開されているあらゆる情報を体系的に収集することです。ウェブサイト、SNS、プレスリリース、採用情報、顧客レビューなど、実は膨大な情報が無料で手に入ります。
具体的に確認すべき情報源を挙げます。
- 競合のウェブサイト:製品・サービスのラインナップ、価格帯、訴求ポイント(キャッチコピー)、ターゲット顧客の想定
- 採用情報:どの部門を強化しているか、求めるスキルセットから戦略の方向性が読める
- プレスリリース・IR資料(上場企業):新製品発表、提携先、業績の方向性
- SNS(X、Instagram、LinkedIn):コンテンツのトーン・頻度・エンゲージメント率
- 口コミサイト(Google Maps、G2、Googleプレイスなど):顧客が評価していること・不満に思っていることのリアルな声
これらを月に一度、スプレッドシートに記録するだけでも、競合の変化を継続的にモニタリングできます。
2. 競合の顧客に直接話を聞く
競合の情報を得る最も直接的な方法のひとつが、競合製品のユーザーにインタビューすることです。「競合調査のために競合の顧客に話を聞く」というと特別なことのように思えますが、実は市場調査では一般的な手法です。
方法はいくつかあります。まず、SNSで競合製品の名前を検索し、投稿している人にコメントやDMで取材を申し込む方法があります。テーマを明示した上で、「15分だけお話を聞かせてください」とお願いするだけで応じてくれる人は意外と多いです。
また、LinkedInで競合の元ユーザーや元従業員を探してコンタクトするのも有効です。特に元従業員は、競合の内部事情(強み・課題・文化)について率直に話してくれることがあります(もちろん守秘義務に配慮した範囲で)。
インタビューでは「なぜその製品を選んだか」「どこに満足しているか」「不満に思っていることは何か」「他の選択肢を検討したか」を中心に聞くと、競合の差別化ポイントと弱点の両方が見えてきます。
3. 自分で競合製品を「体験」する
競合製品を実際に使ってみることは、最も解像度の高い競合情報を得る方法です。サービスに申し込む、製品を購入する、無料トライアルを使う——これらに費用はかかりますが、「競合体験の調査費用」として正当化できます。
体験の際は、ユーザー視点で詳細なメモを取りましょう。
- 申し込みやオンボーディングの体験はどうか
- UIや使い勝手の印象
- カスタマーサポートの質・速度
- コミュニケーション(メール・通知)のトーン
- 退会・解約のプロセス
競合のサービスを途中で解約しようとしたとき、どんな引き留め策があるかも重要な情報です。解約フローのUXから、顧客維持への力の入れ方が見えることがあります。
低コスト競合調査の注意点
これらの手法は費用が低い反面、収集できる情報は断片的です。公開情報だけでは競合の財務状況や内部戦略の全体像はわかりません。また、口コミや自己申告のインタビューにはバイアスが入りやすいため、複数の情報源を組み合わせて判断することが重要です。
低コスト競合調査は「何も知らない状態」から抜け出し、「大まかな輪郭をつかむ」ための手法として位置づけるのが適切です。より深い理解が必要になった段階で、専門調査会社への依頼を検討するのが合理的な順序です。
この記事を書いた人

石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター
リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。
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