マーケティングリサーチをやりたいが、費用がどのくらいかかるかわからない——そう感じる担当者は少なくありません。費用感を知らないまま調査会社に問い合わせると、提案が来てから「思ったより高い」と驚くことになります。この記事では、主な調査手法の費用相場と予算の考え方を整理します。
主な調査手法の費用目安
費用は調査設計・サンプル数・分析の深さによって大きく変わりますが、目安として次のような水準が一般的です(現時点の国内相場感)。
オンラインアンケート(定量調査)
一般的なモニターを使った400〜500サンプル規模の単純集計調査であれば、30〜60万円程度が目安です。クロス集計や因子分析などの高度な分析、自由回答のテキスト分析を加えると費用が上がります。スクリーニング条件が厳しく特定層を集める場合も割高になります。
フォーカスグループ(定性調査)
1グループ(6〜8名、2時間程度)のリクルート・運営・分析・報告書作成まで含めると、50〜100万円程度が目安です。会場費・交通費・謝礼も含まれることが多いです。2グループ実施することが多く、その場合は100〜180万円程度になります。
デプスインタビュー(定性調査)
1対1インタビューを10〜15件実施し、分析・報告書まで含めると、60〜120万円程度が目安です。対象者のリクルートが難しい専門職・高所得層・特定の患者層などは割高になります。
ホームユーステスト(HUT)
製品を家庭で試してもらい感想を収集する手法。製品の発送コストや謝礼が加わるため、50〜150万円以上になることが多いです。
予算が限られているときの対応策
現実には「調査に使える予算は100万円以内」という制約がある企業も多いです。限られた予算でリサーチの質を確保するための考え方を3つ挙げます。
①目的を一つに絞る
予算が少ないのに「ブランド認知も、購買意向も、競合比較も調べたい」と欲張ると、設問数が増えて回答精度が落ち、分析の焦点も散漫になります。「この調査で何を一番知りたいか」を一つに絞ることで、設計がシンプルになり費用も抑えられます。
②セルフサービス型ツールを活用する
SurveyMonkeyやFormrunなどのオンライン調査ツールは、モニターパネルを自分で購入して調査を設計・実施することができます。調査会社に依頼するより安く済む場合があります。ただし、調査設計・分析のスキルが必要なため、社内にリサーチ経験者がいない場合は結果の解釈に注意が必要です。
③既存顧客を活用する
自社の顧客リストがあれば、外部パネルを買わずに調査できます。メールでアンケートを送るだけなら追加費用はほぼゼロです。回収率を高める工夫は必要ですが、最も低コストでリサーチを始める方法のひとつです。顧客インタビューも同様で、10〜15名に声をかけてZoomで話を聞くだけでも有益な定性データが得られます。
費用の妥当性を判断する基準
リサーチ費用を「安い・高い」で評価するより、「この調査によって改善される意思決定の質が、投資額に見合うか」で判断するほうが建設的です。
たとえば、新製品開発に1億円を投資する前提であれば、200万円の調査で方向性のミスを防げるなら十分な投資対効果があります。一方、小さなLP改善の検討に100万円の調査は過剰かもしれません。
リサーチ費用は「使う金額」ではなく「使わないと失う可能性のあるもの」と対比して考えると、適切な予算感が見えてきます。
この記事を書いた人

石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター
リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。
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