「顧客満足度を数値で把握したい」という場面で、NPSという指標が話題になることが増えました。しかし、名前は知っているけれど詳しくは説明できない、という方もまだ多いのではないでしょうか。この記事では、NPSの基礎を5分でつかめるように整理します。
NPSとは「推奨意向」を測る指標
NPS(Net Promoter Score)は、顧客が企業・サービス・製品を「他者に薦めたいか」を0〜10点で尋ね、そのスコア分布から算出する指標です。2003年にフレデリック・ライクヘルドがハーバード・ビジネス・レビューで発表し、今では世界中の企業で広く使われています。
質問はシンプルです。「この会社(サービス・製品)を友人や同僚に推薦する可能性はどのくらいありますか?(0〜10点)」これだけです。
回答者は3グループに分類されます。
- プロモーター(9〜10点):積極的に推薦してくれる熱狂的なファン
- パッシブ(7〜8点):満足しているが他社に移る可能性もある中立層
- デトラクター(0〜6点):不満を持ち、悪評を広める可能性がある層
計算式は次の通りです。
NPS = プロモーター比率(%)- デトラクター比率(%)
たとえば100人が回答し、プロモーターが40人、デトラクターが15人なら、NPSは40-15=25となります。スコアの範囲は-100から+100です。
NPSを使うメリットと注意点
NPSが広く普及した理由のひとつは、質問がたった1つであることです。従来の顧客満足度調査は10〜30問になることも珍しくなく、回答率の低下が課題でした。NPSは設問が短いため、調査の頻度を上げやすく、継続的にモニタリングするのに向いています。
また、スコアが明快な数値で出るため、チーム間や経営会議での共通言語として使いやすい点も評価されています。「先月のNPSが5ポイント下がった」という話をすると、現場と経営層が同じ数字で議論できます。
一方で、注意点もあります。
まず、NPSは「なぜそのスコアをつけたか」を教えてくれません。スコアが下がったとき、原因を探るには別途テキスト回答や追加調査が必要です。このため、NPSには必ず「その理由を教えてください」という自由記述欄を設けることが実務上の定石です。
次に、業界・文化によってスコアの基準が大きく異なります。日本では欧米と比べてスコアが低めに出る傾向があり、「NPS+10」が良いのか悪いのかは競合や業界平均と比較しないと判断できません。自社のスコアだけを絶対視しないようにしましょう。
さらに、NPSは「現時点の推奨意向」であり、将来の行動を完全に予測するものではありません。推奨意向が高い顧客が必ずしも購買を繰り返すわけでもなく、ロイヤルティの一側面を示す指標として位置づけるのが正確です。
NPSを実務に活かすための第一歩
初めてNPSを導入するなら、まず測定タイミングと頻度を決めることが重要です。購入後や契約更新時、サポート対応後など、顧客体験の節目に設定すると、スコアの変化がどの体験と連動しているかが見えやすくなります。
合わせて、スコアを下げている原因を深掘りするフォローアップの仕組みを最初から組み込んでおきましょう。デトラクターに対して一対一でフォローアップするクローズドループフィードバックは、解約防止と顧客関係の修復に効果があります。
NPSは万能ではありませんが、シンプルさと継続性が強みです。満足度調査の導入を検討しているなら、NPSを起点に始めるのはひとつの合理的な選択です。
この記事を書いた人

石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター
リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。
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