アンケートを配信したのに、回収率が10%以下だった——そういう経験をしたことがある方は多いはずです。回収率が低いと、サンプルが偏り、分析の信頼性が落ちます。今回は、回収率を上げるためにすぐ実践できる3つの改善策を紹介します。
1. アンケートの「短さと明快さ」を最優先する
回収率に最も大きく影響するのは、アンケートの長さです。設問数が増えるほど途中離脱率が上がり、最後まで回答してもらえる割合は下がります。一般的に、所要時間が3分を超えると完了率が急落するというデータもあります。
改善の第一歩は、設問の棚卸しです。「この設問で何を意思決定するのか?」を問いながら、直接的に使わない設問を削除してください。「あったらいい」程度の情報収集のために設問を増やすのは厳禁です。
次に、設問の文章を見直します。一つの設問に二つの論点を詰め込む「ダブルバーレル質問」(例:「使いやすさと価格に満足していますか?」)は避けましょう。設問は一問一答が原則です。また、専門用語や業界用語は平易な言葉に置き換え、誰が読んでも意味が一つに取れる文章にします。
進捗バーを設けてページの残りを見せるだけでも、途中離脱を減らす効果があります。「残り2問」とわかれば、回答者の心理的負担が下がります。
2. 配信タイミングと媒体を最適化する
同じアンケートでも、配信するタイミングによって回収率は大きく変わります。顧客向けのアンケートなら、サービス利用直後・購入直後が黄金のタイミングです。体験が記憶に新しいうちに回答してもらうことで、回答精度と回収率の両方が上がります。
曜日・時間帯も重要です。BtoB向けのアンケートは火〜木曜日の午前中が開封率・回答率が高い傾向があります。週明けの月曜日や週末は埋もれやすいため避けるのが無難です。消費者向けであれば平日夜や休日も有効なタイミングです。
また、メールだけに頼らず、配信媒体を複数持つことで回収率を底上げできます。メールとSMSの併用、アプリ内プッシュ通知、LINEメッセージなど、ターゲット層が普段使っているチャネルを優先しましょう。
リマインドメールも有効ですが、しつこすぎると逆効果です。1回だけ、初回配信から3〜5日後に送るのが一般的なベストプラクティスです。件名に「【ご回答のお願い】」と明記するより、「あなたのご意見をお聞かせください」のように個人に向けたトーンにするほうが開封率が上がることが多いです。
3. インセンティブを設計する(ただし注意点あり)
回収率を上げる即効策として、インセンティブの提供があります。抽選でAmazonギフト券を進呈する、ポイントを付与するなどの方法が一般的です。
ただし、インセンティブには注意点があります。報酬目的で不誠実に回答するケースや、対象顧客層に偏りが生じるリスクがあります。インセンティブが大きすぎると、リサーチの目的から外れた回答者が集まりやすくなります。
より持続可能なアプローチは、「調査結果を共有する」という約束をすることです。「回答いただいた調査結果は後日レポートとしてお送りします」と伝えると、特にBtoB顧客や知識習得意欲の高い層の回答率が上がります。自分の意見が集合知として活かされるという参加感が、動機付けになるからです。
最終的に、回収率は「このアンケートに答える意味があるか」という回答者の判断に左右されます。設問の質を高め、適切なタイミングで届け、回答の価値を伝えること——この3つが揃うと、回収率は自然に改善されます。
この記事を書いた人

石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター
リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。
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