CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツール10選

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はじめに

顧客体験の向上が競争優位の源泉となる時代、企業は顧客の本音をどう捉えるかに苦心しています。SNS、メール、コールセンター、アンケートと、顧客接点は増える一方で、散在するフィードバックを一つひとつ人力で収集・整理しようとすれば、時間もコストも膨れ上がります。筆者がマーケティング部門で目にしてきた現場も同様でした。せっかく顧客が発した貴重な声を取りこぼし、気づいたときには競合に顧客を奪われていた、そんなケースは少なくありません。

CX向上の鍵を握るのがVoC(Voice of Customer)、つまり顧客の声の戦略的な収集と活用です。とはいえ、顧客が語る場所も形式も多種多様な今、どこから手を付ければよいのか迷う担当者は多いでしょう。そこで重要になるのが、VoC収集を効率化し、収集した声を分析・施策化まで導くためのツールです。

本記事では、実務でCX向上に取り組む担当者に向けて、VoC収集に適したツール10選をご紹介します。各ツールの特徴や強み、どういった企業・場面に適しているかを、実際の現場感覚をもとに解説していきます。

VoC収集ツールとは何か

VoC (Voice of the Customer) とは、製品やサービスに対する、顧客の経験や期待に関するフィードバックを表す言葉です。VoC収集ツールは、その顧客の声を複数のチャネルから自動で集約し、分析しやすい形に整理するソフトウェアを指します。

VOC(顧客の声)システムは、顧客からのフィードバックを収集・分析し、製品やサービスの改善に活用するツールです。アンケート管理、フィードバック分析、レポート生成機能を備え、カスタマーサポート部門や品質管理部門で活用されます。従来は各部署が個別にデータを保持していたため、情報が断片化し、顧客の全体像が見えにくくなっていました。

VoC収集ツールを導入すると、コンタクトセンターに寄せられる問い合わせ、Webアンケートの回答、SNS上の投稿、ECサイトのレビューなど、あらゆる顧客接点からのフィードバックを一元管理できます。筆者が関与したプロジェクトでは、導入前は部門ごとにExcelで管理していたため、データの重複や見落としが頻発していました。ツール導入後は、リアルタイムで顧客の声を可視化でき、施策のスピードが格段に上がりました。

VoC収集ツールには大きく分けて、テキストマイニングに強いもの、SNS分析に特化したもの、コールセンターの音声データをテキスト化するものなど、複数のタイプが存在します。企業の業種や顧客接点の性質によって、最適なツールは異なります。

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なぜVoC収集ツールが必要なのか

顧客の声を集めること自体は、ツールがなくても不可能ではありません。しかし実際には「分析に人的リソースを割けない」「収集はしているがデータを整理しておらずうまく活用できない」「分析の方法がわからない」などの課題をもつ企業が多いのが現状です。

散在するデータを統合する必要性

顧客は企業に対して、さまざまな経路で声を届けます。電話、メール、チャット、SNS、店頭での会話。それぞれのチャネルで得られたフィードバックがバラバラに管理されていると、同じ顧客が異なる場所で語った意見を結びつけることができません。筆者が支援したあるB2C企業では、電話での苦情は顧客対応部門、SNSの投稿はマーケティング部門、アンケートは商品企画部門がそれぞれ別々に保管していました。結果として、同一顧客が複数の場所で同じ不満を訴えていたにもかかわらず、組織全体では認識されていなかったのです。

VOC 分析を行うには、通話・チャット・メールなど、顧客とのインタラクションデータを統合的に扱える仕組みが必要です。なぜなら、通話でのお問い合わせが 2 、 3 件でも、同じ内容の相談がチャットやメールを加えたら 10 件を超えていた、ということは普通にあるからです。

分析の速度と精度を高める

人の手で大量のテキストデータを読み込み、傾向を抽出するには膨大な時間がかかります。さらに、分析者の主観が入り込みやすく、重要な声を見逃すリスクも高まります。生成AIの利点はスピーディーなデータ加工や分析が可能であることです。さまざまな媒体に転がる顧客の声は大きなデータ量になりますが、生成AIを使えば、多量のデータをリアルタイムで分析し、意味を把握することができます。

VoC収集ツールの多くは、テキストマイニングやAI機能を搭載しており、頻出キーワードの抽出、ポジティブ・ネガティブの感情分析、顧客セグメントごとの傾向把握などを自動で行います。これにより、担当者は分析結果の解釈と施策立案に集中できます。

CX向上の打ち手を迅速に実行する

今日、市場リーダーは、VoC プログラムがロイヤルティと売上増加のための大きなチャンスとなることを理解しており、リスニングと反応のサイクルをよりスピードアップさせて実行する必要性を感じています。VoC収集ツールを使うことで、顧客の不満や期待をリアルタイムで察知し、迅速に対応策を講じることが可能になります。

VoC収集でよくある課題

ツール導入を検討する前に、現場でよく直面する課題を整理しておきます。

データの散在と孤立

先ほども触れましたが、各部門が独自にデータを保有しているため、全社的な顧客理解が進まないという問題があります。営業、カスタマーサポート、マーケティングがそれぞれ別のシステムを使っていると、情報の共有すらままなりません。

収集はしても活用できない

アンケートやSNSモニタリングでデータは集まるものの、そこから何を読み取ればよいのかわからず、結局活用されないまま放置されるケースは多いです。筆者が見てきた企業でも、年に一度顧客満足度調査を実施するだけで、その結果が商品開発や顧客対応の改善につながっていない例がありました。

分析に時間がかかりすぎる

人力でテキストを読み込み、Excelで集計していると、分析レポートが完成する頃には市場環境が変わってしまいます。特にSNSのようにリアルタイム性の高いチャネルでは、スピード感が致命的に重要です。

担当者のスキル不足

データ分析のスキルを持つ人材が社内にいない、あるいは少数に限られている場合、せっかくデータがあっても宝の持ち腐れになります。ツールによってはノーコードで分析が可能なものもあり、スキルの壁を下げることができます。

VoC収集ツールの正しい選び方

ツール選定においては、自社の目的と顧客接点の特性を明確にすることが先決です。

収集したいチャネルを特定する

どの媒体から顧客の声を収集できるかが重要です。顧客の声を収集できる媒体は多岐に渡ります。カスタマーサービスのチャットや電話、アンケートやレビューサイトのほか、SNSや掲示板も対象となります。自社の顧客がどこで声を上げやすいのか、まずは現状を把握しましょう。B2Bであればメールや営業担当者へのフィードバックが中心になるかもしれませんし、B2Cであればレビューサイトやインスタグラムが重要なチャネルになるでしょう。

データを収集するチャネルに応じて使い分けるのがよいでしょう。アンケートからVOCを収集したい場合はアンケート作成ツール、コールセンターであれば音声認識によるテキスト化機能が役立ちます。

分析機能の深さを確認する

ツールによって、単純な集計しかできないものから、AIによる感情分析や予測分析まで可能なものまで幅があります。自社に必要な分析の深さを見極めましょう。年齢、地域、性別などの属性や特定のキーワード・トピックごとに分けて分析する各種分析機能を備えています。顧客セグメントごとの傾向把握が必要な場合は、こうした機能が搭載されているかを確認します。

既存システムとの連携

CRMやMAツール、BIツールなど、既に社内で使っているシステムとスムーズに連携できるかも重要なポイントです。API連携やデータエクスポート機能があれば、データの二重入力を避け、業務効率を高められます。

導入コストと運用負荷

高機能なツールほど導入費用や運用コストがかさみます。自社の予算とリソースに見合ったツールを選ぶことが大切です。また、ツールによっては専門知識が必要なものもあるため、現場の担当者が使いこなせるかどうかも事前に検討しましょう。

おすすめのVoC収集ツール10選

ここからは、実務で活用されているVoC収集ツールを10種類ご紹介します。

1. クアルトリクス カスタマーエクスペリエンス(CX)

クアルトリクス合同会社が提供する「クアルトリクス カスタマーエクスペリエンス(CX)」は、顧客の声を集約・分析し、適切なアクションを導き出すプラットフォームです。27の配信チャンネルと128のデータソースを活用し、リアルタイムでフィードバックを取得。予測AI「iQ」により顧客ロイヤルティの傾向を把握し、維持・向上に向けた施策を支援します。

大規模なグローバル企業で多く採用されており、複数のタッチポイントから顧客データを統合管理したい場合に適しています。筆者が関わったプロジェクトでも、クアルトリクスを導入した企業は、顧客ロイヤルティスコアの変動要因を迅速に特定し、施策の優先順位を明確にできていました。

2. 見える化エンジン

SNS分析を得意とするテキストマイニングツール。X(Twitter)最新APIでの量データの取り込み、Instagramや国内主要ブログからの情報収集分析、「商品サービスの反響」「感情」「体験」の分析、企業と顧客のギャップの可視化など40種類以上の機能を搭載している。

特に日本国内のSNSやブログからのVoC収集に強みを持ち、感情マップやNPS比較マップなど、視覚的に顧客体験を把握できる点が特徴です。筆者が支援した消費財メーカーでは、新製品発売後のSNS反応を見える化エンジンで分析し、想定外のネガティブ反応を早期に検知して改善につなげました。

3. Sprinklr

Sprinklrは、VoCをオムニチャネル体験管理の視点から扱います。VoCを単独の機能として切り離すのではなく、ソーシャルリスニング、サービス運用、エンゲージメントワークフローに組み込みます。これにより、Sprinklrは公共性が高く、大量のデジタル環境で運営されるブランドに特に効果的です。

グローバルでSNSを活用したマーケティングやカスタマーサポートを展開している企業に向いています。

4. Genesys Cloud CX

コールセンターの応対履歴を自動で分析するツールのニーズもあり、増えています。たとえば、 Genesys Cloud CX は、コールセンターのデータを集約し、 AI を用いた VOC 分析を実現する CX 統合プラットフォームとして、多くの企業で活用されています。

音声データのテキスト化と分析に強く、コンタクトセンター業務の改善を重視する企業に適しています。

5. VOiC Finder

VOiC Finderは、「音声認識データはあるがVOC分析できていない」「CX向上にVOCを活用したい」といった課題を解決するテキストマイニングツールです。従来のツールが苦手とする「話し言葉」の分析に強く、特許技術により、さまざまな話し言葉から高精度かつ高速なVOC分析を実現します。

コールセンターやコンタクトセンターでの音声データ活用を検討している企業におすすめです。

6. HubSpot Customer Feedback Software

HubSpotの顧客フィードバックソフトウェアでNPS、CSAT、CESアンケートを簡単に作成できます。顧客は6か月で最大18倍の成約と高い成約率を実現しています。

HubSpotのCRMと連携させることで、マーケティングから営業、カスタマーサクセスまでを一気通貫でVoC管理できる点が強みです。中小企業やスタートアップで、CRMと合わせてVoC収集を始めたい企業に向いています。

7. Zendesk

VoCとは”Voice Of Customer”、日本語では「顧客の声」を意味します。Zendeskは、カスタマーサポート領域で広く使われており、チケット管理やチャット、メールなど複数のチャネルからのフィードバックを一元管理できます。顧客対応の履歴とVoCを紐付けて分析できるため、サポート品質の向上に直結します。

8. Contentsquare Voice of Customer

Contentsquareは、AIを活用したカスタマイズ可能なアンケートを数秒で立ち上げられます。UX変更をその場で検証し、率直なフィードバックに簡単に対応できます。フィードバックを残したユーザーのセッションをリプレイしたり、ワンクリックでフォローアップインタビューに招待したりできます。

WebサイトやアプリのUX改善を目的とした企業に適しており、行動データとVoCを組み合わせて分析できる点が特徴です。

9. SurveyMonkey

SurveyMonkeyでカスタマージャーニー全体のフィードバックを収集し、重要なポイントを素早く把握してアクションを起こせます。NPSプログラムを構築し、発見を共有し、ロイヤルティを高めます。

アンケート作成ツールとして世界的に有名で、手軽にVoC収集を始めたい企業や、定期的な顧客満足度調査を実施したい企業に向いています。

10. Microsoft Dynamics 365 Customer Voice

率直な顧客フィードバックを収集する最適な方法の 1 つが、オンラインで顧客アンケートを作成し、送信してもらうことです。アンケートはコスト効果が高く、正確なデータの収集と合理化を行うカスタマイズ可能な方法であり、得られたインサイトに基づいてリアルタイムで対応できます。

Microsoft製品を既に利用している企業であれば、Dynamics 365と連携させることで、営業やマーケティングのデータと顧客フィードバックを統合管理できます。

VoC収集ツール活用の実践ポイント

ツールを導入しただけでは成果は出ません。運用面でのポイントを押さえておきましょう。

目的を明確にする

VOC分析を実施するにあたってはまず、何のためにVOC分析をするのかを明確にすることが大切です。目的が明確化されていないとただのデータ収集となってしまいます。顧客満足度の向上なのか、商品改善なのか、離脱防止なのか。目的によって収集すべきデータやツールの使い方は変わります。

部門間でデータを共有する

分析した顧客の声は、収集し・分析しただけでは意味がありません。何が改善に必要なのかを共有することが大切です。社内であれば、営業部門がカスタマーサポート部門に共有するなど、連携をとることで、最適な施策を打ち出せます。

筆者が支援した企業では、週次でVoC分析結果を全社共有する定例会を設け、各部門が自分ごととして改善策を考える文化を醸成しました。

継続的にPDCAを回す

VOC分析の内容は、自社の企業活動に活かしましょう。その効果が現れているか検証するためには、継続的なVOC分析が欠かせません。継続的に分析を続けることで、VOC分析の内容が適切に企業活動に活かされているか判断できます。

一度分析して終わりではなく、施策を実施した後の顧客の反応を再度収集し、改善の精度を高めていく姿勢が重要です。

顧客の生の声に耳を傾ける

ツールが出力する数値やグラフだけに頼らず、実際のコメントや音声を聞くことも大切です。数値では見えない顧客の感情や文脈を理解することで、より深い洞察が得られます。

まとめ

CX向上の核心は、顧客の声に真摯に耳を傾け、迅速に改善につなげることにあります。しかし、顧客接点が多様化し、データ量が膨大になる今、人力だけでVoCを管理するのは現実的ではありません。VoC収集ツールは、散在するフィードバックを統合し、分析の速度と精度を飛躍的に高めるための武器です。

ツール選定においては、自社の顧客接点の特性、収集したいデータの種類、既存システムとの連携、予算とリソースを総合的に判断することが求められます。クアルトリクスのような大規模プラットフォームから、HubSpotのような中小企業向けのツールまで、選択肢は豊富にあります。

重要なのは、ツールを導入したその先です。収集したデータを部門横断で共有し、施策に落とし込み、効果を検証してまた次の改善につなげる。そのPDCAサイクルを組織全体で回す仕組みを構築できれば、VoC収集ツールは単なる便利ツールではなく、顧客ロイヤルティと売上成長を牽引する戦略的資産になります。筆者が見てきた成功企業は例外なく、ツールを使いこなすだけでなく、顧客の声を組織文化として根付かせていました。

VoC収集ツールの導入を検討している方は、まず自社の現状と課題を棚卸しし、どのチャネルからどんな声を集めるべきかを明確にするところから始めてみてください。

よくある質問

Q.CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールとは何ですか?初心者にもわかるように教えてください。
A.CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールとは、CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツール10選に関連する概念・手法です。マーケティングリサーチの文脈では、顧客理解や戦略立案のために活用されます。詳しくは本記事の各セクションで実務的な視点から解説しています。
Q.CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールを実務で活用する際に最も重要なポイントは何ですか?
A.最も重要なのは、目的を明確にしてから取り組むことです。CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールは手法自体が目的化しやすいため、何を明らかにしたいのか、その結果をどう活用するのかを事前に設計することが成功の鍵です。本記事では具体的な設計方法と注意点を解説しています。
Q.CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールにかかる費用や期間の目安はどのくらいですか?
A.規模や目的によって大きく異なりますが、一般的なマーケティングリサーチでは数十万円〜数百万円、期間は2週間〜2ヶ月程度が目安です。自社で実施する場合はツール費用のみで済むこともありますが、専門性が求められる場合は調査会社への依頼をおすすめします。
Q.CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールでよくある失敗パターンを教えてください。
A.よくある失敗は、データの収集だけで満足してしまい、分析と施策への落とし込みが不十分になることです。また、サンプルの偏りや質問設計の不備により、信頼性の低い結果を得てしまうケースも少なくありません。本記事で紹介している手順に沿って進めることで、こうした失敗を防げます。
Q.CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールについて専門家に相談したい場合はどうすればよいですか?
A.リサート(Researto)では、CX(カスタマーエクスペリエンス)のVoC収集におすすめのツールに関する調査設計から分析、レポーティングまで一貫してサポートしています。初回のご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせページからご連絡ください。経験豊富なリサーチャーが最適な調査プランをご提案します。

この記事を書いた人

石崎健人

石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター
リサート所属モデレーター。外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。

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