はじめに
マーケティングリサーチやアンケート調査を行う際、よく課題となるのが「サンプルサイズ(調査対象者数)の決め方」です。
サンプルサイズが小さすぎると信頼性が低くなり、逆に大きすぎるとコストや時間が無駄になる可能性もあります。適切なサンプルサイズは、調査の目的や精度、予算とのバランスで最適化すべき重要な要素です。
この記事では、サンプルサイズとは何か、どのように計算・設定するべきか、実務で役立つ目安やポイントを初心者にもわかりやすく解説します。
サンプルサイズとは?
サンプルサイズとは、調査対象となる人数のことです。統計調査において、母集団(全体)から一部を抽出して調査する際、その「抽出数(n)」がサンプルサイズです。
たとえば、「全国の20代女性の購買意識を知りたい」という調査において、100人、500人、1,000人といった調査対象者数がサンプルサイズにあたります。
なぜサンプルサイズが重要なのか?
適切なサンプルサイズを設定することで、以下のようなメリットがあります:
- 結果の精度(信頼性)が向上する
- 偶然による誤差を抑えられる
- 調査の説得力・再現性が高まる
- 必要最小限のコストで実施できる
逆に不適切なサイズ設定は、調査結果のブレや偏り、判断ミスにつながるリスクがあります。
サンプルサイズの決め方【基本編】
サンプルサイズを決定する際には、以下の4つの要素が重要です。
1. 母集団のサイズ(N)
調査対象全体の人数。大規模な場合は近似的に無限母集団とみなすこともあります。
2. 許容誤差(e)
調査結果が「どの程度の誤差まで許容できるか」。一般的には±3〜5%程度がよく用いられます。
3. 信頼水準(Z)
調査結果の精度をどの程度の確率で保証するか。よく使われる値は:
- 90%信頼水準 → Z = 1.645
- 95%信頼水準 → Z = 1.96
- 99%信頼水準 → Z = 2.576
4. 分散(p×q)
p=「ある事象が起こる割合」、q=「起こらない割合(=1−p)」 → 最大値となる0.5×0.5=0.25を使うと“最も厳しい条件”として安全なサイズになります。
サンプルサイズの計算式
一般的な計算式は以下の通りです:
n = (Z² × p × q) / e²
例:信頼水準95%(Z=1.96)、p=0.5、e=0.05 の場合:
n = (1.96² × 0.5 × 0.5) / 0.05² ≒ 384.16
→ おおよそ「385サンプル」で±5%の誤差、95%の信頼水準が得られるということになります。
※母集団が小さい場合は「有限母集団補正(FPC)」も考慮します。
サンプルサイズの目安一覧表(信頼水準95%)
許容誤差(e) | 必要なサンプルサイズ(p=0.5) |
---|---|
±10% | 約100人 |
±5% | 約385人 |
±3% | 約1,067人 |
±2% | 約2,401人 |
実務での考え方:目的と条件に応じたバランス調整
調査設計においては、理論値だけでなく以下のような実務的な視点が重要です:
● ターゲットのセグメント数
たとえば、男女別や年代別などセグメントで比較したい場合、それぞれに十分なサンプルが必要になります。
● 回答率の見込み
Webアンケートでは回答率が20〜30%程度となるケースも。回収率を踏まえて多めにサンプル設計する必要があります。
● 予算と納期
実現可能なコストやスケジュールに収めるため、調査規模を調整する必要もあります。
調査目的別:サンプルサイズの考え方
● 認知率・利用率調査
→ ±5%の誤差で全体傾向をつかむ:300〜500人程度が一般的
● 広告効果測定
→ 検証精度が求められるため、1,000人以上での実施が推奨
● 商品評価・コンセプトテスト
→ 複数パターン比較を行う場合、各グループに100人程度が目安
● BtoB調査
→ 母数が限られるため、30〜50件でも有効活用可能(定性調査併用も検討)
まとめ
- サンプルサイズとは、調査対象の人数であり、調査の精度と信頼性を大きく左右する
- 決定には「許容誤差」「信頼水準」「分散」「母集団サイズ」の4要素が重要
- 実務では、目的・予算・回答率なども踏まえて設計すべき
適切なサンプルサイズ設計は、調査結果の信頼性とコストパフォーマンスの両立に欠かせません。 「なんとなく」で決めず、理論と実務のバランスで最適な設計を目指しましょう。